おぼしきこと言はぬは腹ふくるるわざ
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2007年04月10日(火) 中塚明『『蹇蹇録』の世界』読了

 大学院時代からの宿題であった当初ようやく読了
 はっきしいって期待はずれ。蹇蹇録とは日清戦争当時の外務大臣・陸奥宗光の著した当時の第一級の史料とされる書だが、本書では第一章・二章を費やして結局のところ「外務大臣陸奥が自分の手柄を明らかにするため著した」という結論に終わる。
 さらに第三章にて同書の批判に入るのだが、つまるところは『開戦当初の王宮占拠から閤妃虐殺にいたるまでの朝鮮人弾圧に対する批判がない、とそれこそ大学院時代馬に食わせるほど読んだ議論で終わり(それはそれ自体そうなのだが)、なぜそうなのか、という検討に踏み入らない。結局中塚は朝鮮近代史研究家の枠から一歩も外には出ていない、というだけの書であった。
あー、これは日本史研究家が読んで朝鮮史家はこんな見方をするのかーと感心するための本なのかもしかして。


べっきぃ