おぼしきこと言はぬは腹ふくるるわざ
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我らのカイたんシリーズ第二弾が早くも発売・さっそく購入。3日がかりで読み干す。相変わらずカイたん21歳萌え。(ところで『さよなら絶望先生』で隣のクラスの万世橋わたる君も言っていたが、一般人が萌え萌えいうんじゃない。我々は二十年がかりでこのもやもやとした感情に的確な用語を発見したのだ)
なんちゅうか、命をねらわれているからとはいえピストル一丁買うだけで二十ページもかかる小説も珍しい。敵に手の内を知られないようにするため、とはいうもののそれなりに分厚くしろとかの「大人の事情」もあるのではないか(『ジョーズ』なんかも大人の事情で二冊ですむところを三冊立てになったそうな)
SFとしては2流(宇宙船の「最大速度」ってなんだよ)、冒険小説としては1流半。この小説を読ませているのは、捨て犬をほおっておけない(比喩的表現なのだが今回は本当に拾ってしまう)天使の心と、殺人に快感を覚える悪魔の心を同居させているヒロイン・カイのキャラ造詣によるところ大だろう。
で、今回は冒頭からカイの実家が何者かに襲撃され、一族ほぼ皆殺し・積荷はみな没収の圧倒的危機のなかで忍び寄る刺客、その上に危険な香りぷんぷんの色男の魔手までせまる。あやうしカイたんの運命はいかに?で次巻に続くわけだが(ところでアメリカのジゴロというのは女の子の前でライムの皮を剥くものなのか?)2巻までと3巻以降かなり話の性格が変わるような気がする。
小説の醍醐味のひとつに「情報が制限された環境の中で徐々に主人公と読者に情報が提示され、謎が明らかにされていく過程」があると思う。日本の小説の7割以上が推理小説であるのは、どんな駄作であっても推理小説にはこの過程が最低限保障されているからだ(と筒井康隆がいってた)。 で、このシリーズにおいてもこの原則は守られており、主人公カイは「何者かによる恒星間通信システムへの破壊工作」と「負傷による脳内情報端末への一時的接続禁止」という二つの形で、未来世界においての情報が極端に制限された状態に置かれている。 この情報制限された環境でカイは知力を振り絞り、己の判断に全てをかけなくてはならない。(この情報制限された中での自己責任の重さと絶対の独断権を与えられている自由さ、こそが帆船時代を舞台にした海洋冒険小説や、それをSFRPGに置き換えたトラベラーの面白さなのだが) ところが本巻ラストにおいてカイは両者を取り戻すどころか「恒星間通信が可能な脳内情報端末」というこの世界では誰も存在すらしらないスーパーアイテムを手に入れてしまう。次巻からのカイは作品世界においては超能力者である。3巻からは一気に謎に秘めた敵の正体が明らかにされていくのは間違いは無いが、天上人になってしまったカイからこれまでの魅力が失われないか、そのことだけが心配である。って、まだ3巻って本国でも書かれて無いじゃん。
べっきぃ
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