無責任賛歌
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|藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2006年11月20日(月) まだ今一乗らない日々/舞台『EDDIE』

 日記を再開して、たくさんの人から激励の言葉を頂いている。
 やたら来訪者だけは多い日記だが、Google検索で来られる方ばかりなので、熱心な読者の方などはいないだろうと思っていたので、ありがたい限りである。
 辛辣な批評を希望する方が多いのは、「お前らそんなに悪口が好きか」と思わないでもないが、批評が厳しくなるか甘くなるかは、以前も「その時次第」だった。
 「ミクシィ癖」がまだ残っている現在は、「甘さ」の方がやや勝りぎみなのは、多少はお許しいただきたいところである。

 ましてや今は、ワークショップの余韻で、時々アタマがホワイトアウトしてるし(笑)。



 舞台『EDDIE』(劇団ing)。

 エディ・タウンゼントを描くのなら、もっと若いころを舞台にすべきではないか、と思った。

 晩年は既に功成り名を遂げた後の、誰もがエディを愛していた時代、本人にとってはドラマらしいドラマのない、あえて悪い言い方をするなら、エディの病気以外には盛り上がりようのないころの物語である。
 若き日の、「混血」と馬鹿にされつつも無敗を続けていたボクサー時代、トレーナーに転身して力道山に見出され、日本に渡り、初の世界チャンピオンを育て上げるまでの方が、波瀾万丈なことは間違いない。
 あえてドラマとして完成形を目指すことを避けて、最晩年のころに視点を絞ったのは、単純に取材が及ばなかっただけなのだろうか。
 おそらくはそうではなく、実際にエディに育てられたボクサーたちが一様に感じていた、エディの優しさ――それをこそ舞台化してほしい、という思いに答えたためであろう。

 したがって、演劇としては必ずしも賞賛しがたい、ある種の「甘さ」が散見していても――それを直接的に批判することは、いささか憚れてしまうのである。

 ボクシングシーンは、役者がみな実際にジムに通い続けただけあって見応えがある。


【STAFF】
 作・演出 …………………… 藤井 任
音  響 …………………… 山北舞台音響/今西工/中西梢
照  明 …………………… 梶ライティングデザイン/…アルテ・シェーナ

【CAST】
 エディ・タウンゼント …… 藤井つとむ
 井岡弘樹 …………………… 黒川進一
 津田会長 …………………… 鈴木正勝
 タウンゼント百合子 ……… 美奈瀬 杏
 小林誠一 …………………… 大仁田 寛
 小野一郎 …………………… 程野岳彦
 松本 直 …………………… 熊坂欣太郎
 津田麻美 …………………… 野口賀代
 仲井たけし ………………… 羽田野啓輔
 白石知佳 …………………… 錦織 舞

【STORY】
世界の頂点を極めた英雄の影には、彼がいた。
 敗北し、肩を落とす勇者の影にも、彼がいた。
 ボクシングにすべてを捧げた男、エディ・タウンゼント(藤井つとむ)。
 6人の世界チャンピオンを育てた名トレーナー。
 ボクシングにより喜び、挫折を知り、ボクシングにより愛を伝えた伝説の男である。
 「ここは、サムライのジムじゃないですよ。ボクサー、本当に泣きたい時、本当につらい時、そばにいてくれる人がほしいんだよ」
 日系人のエディには、日本人のボクシングジムにある暗黙のルールが理解できなかった。
 そんな彼の存在は、少しずつ周りの人間に影響を与え、その人柄と的確なコーチングには人々を呼び寄せる無言の力があった。

エディがその才能を高く評価し、親愛の情を込め「BOY」と呼ぶ青年井岡弘樹(黒川進一)。
 今、井岡の初のチャンピオン防衛戦に向け、エディはコーチに明け暮れていた、その最中にエディは病に倒れる。
 限界まで走り続けてきた彼の身体は、癌に蝕まれ、入院を余儀なくされる。
一方、世界戦を目前に控え、心の支えでもあったエディを失い、不安を隠せない井岡。その落胆ぶりは誰の目にも明らかだった。
 そんな中、エディが井岡の次のチャンピオンだと期待していた青年、松本直(熊坂欣太郎)がジムに戻ってくる。
 松本は父の事故死によって家業を継がなければならず、帰省していたが、「ボクシングを忘れたくない。この体に染み込ませておきたい」と井岡とのスパーリングを懇願しにやってきたのだった。
 この知らせに、周囲の反対を押し切りジムに駆けつけるエディ。
 彼は車椅子に身を委ね、痛々しい姿であらわれるが、「BOYのガッツが見たいですよ」と嬉しそうに話すのであった。
 そんな彼等の情熱に井岡は、己の甘えを戒めるかの様に松本と打ち合い、エディに防衛戦での勝利を固く誓う。
 井岡のセコンドに就きたいと切望するエディ、しかし病魔は容赦なく襲い掛かり、そして遂にエディは意識を失う。
 独りリングへと向かう井岡は、当初苦戦をしいられるがその時、エディのアドバイスが脳裏をかすめる。そして最終ラウンド、鮮やかなKO勝ちを収めた。
 エディは自らのトレーナー生命の全てを懸けて育てた、最後のチャンピオンの勝利を確めるかのように、安らかに息をひきとるのであった……。

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