無責任賛歌
日記の表紙へ昨日の日記明日の日記




ホームページプロフィール掲示板「トーキング・ヘッド」メール
藤原敬之(ふじわら・けいし)

↑エンピツ投票ボタン(押すとコメントが変わります)
My追加


2004年02月22日(日) 久しぶりのネット散策

 寝過ごして、『デカレンジャー』2回目を見損なう。ああ、石野真子のご尊顔を拝しそこなってしまった。土曜の夜の夜更かしは厳禁だな。
 何とか『仮面ライダー剣』から後、『アトム』までは一通り見たけれど、何か物足りない。アトムなんか、ようやくクライマックスに来たのだから、もう少しなんとかなってもよさそうなものなんだけれど、どうにも浅薄な印象を拭えないのである。手塚プロは新作として『火の鳥』を黎明編からアニメ化するつもりらしいけど、下手な作家性を持ちこむのは止めて、原作に出来るだけ忠実に作ってほしいものだ。


 久しぶりに、ネットであちこちの日記やら掲示板やらを散策する。
 唐沢俊一さんの裏モノ日記、まとめて読んだほうが「繋がり」が見えて面白い。「日本に徴兵制なんて敷かれないよ」という意見を読んでいると、ちょっとホッとしはするが、賢しらな人間の予測を遥かに越えるのが歴史というものだから、一抹の不安は残る。恒久平和が幻想であることまでは否定できないだろう。やたら国民の不安を煽ろうとする文化人たちに対する唐沢さんの憤りには共感。
 弟のなをきさんが、劇場公開時からのルネ・クレール版『そして誰もいなくなった』のファンであることも書かれていた。日本公開自体も映画製作から30年が経っていたが、DVD化は更に30年後、その間ずっと幻だった映画である。話題にできる人も少ないというのに、見る人はちゃんと見て面白がっているのだ。「ローランド・ヤングがワトソン役者」ってことにまでちゃんと触れている。いやもう嬉しいのなんの。
 2月20日の日記に紹介されていた、ワシントン大学の調査結果で、「結婚生活が円満に続くのは、相手に対して肯定的な会話が否定的な会話の五倍以上あるカップルであり、この五倍という数字を割り込むと、結婚生活は高い割合で破綻する」というのには笑った。全く、アメリカ人はストレートなことである。多民族国家はそうでなければ成り立たないということも理解できないわけではないが、機微の希薄な関係というのも味気ないことである。
 従来の日本人、特に我々の世代までの場合、このデータはまず該当しない、どころか、全く逆のデータが出ることは間違いのないところだろう。配偶者を誉めるなんて気恥ずかしい行為は死んでもしたくない、という感覚の人間の方が圧倒的に多いのである。実際、この日記でも私が女房を誉めたことなど殆どない。
 ところが、私たちよりひと周りほど下の世代になってくると、この感覚がまた逆転して、どうやら随分欧米化しているらしいのですね。つまりちゃんと「愛してる」と言い続けてくれないと、本当に愛してくれているのかどうか信頼できないという感じで。そういう人たちにしてみれば、私がやたら女房のことを貶すのがどうにも理解できないことであるらしい。
 けれど私にとってはやはり「愛していると言い続けなければならない」家庭のほうが、「愛情」を強制されている自由のないものにしか感じられないのである。つか、夫婦は愛情で結びつかなきゃならないものだなんてこれっぽっちも考えていないから、もともとそんな言葉は不要なのである。
 とりあえずもう十年以上も夫婦続けてきて、これから先も別れる予定はありやせんから、「この人たちはどうしてこれだけいがみ合ってて、なのに別れようとしないんだろう」なんて詮索は、余計なお世話というものです。……てなことも時々日記に書いているのだが、忘れてる人も多いので、改めて書いておきます。


 山本弘さんとこの掲示板も、久しぶりに覗いてみる。
 「SF1000冊読破していない人は語る資格無し」と、言いたいことはわかるが、その挑戦的な書き方から、明らかに煽りであろうと思われるスレッドに、レスがたくさん付いている。
 このあたりの論議ももう私は何十年も前に語り尽くしていて結論を出していることなので(だから、煽りと分かっていても、何かひとこと言いたくなる心情も理解できなくはない)、今更何か意見を言う気にもなれない。けれど、レスの一つに、「SFの話のできる友人に恵まれなかったので、そういう話のできる場があると、つい浅学を顧みず喋り出してしまう」旨の発言があって、ああ、やっぱり時代が違うんだなあと実感させられて淋しくなってしまった。私の学生時代と言ったら、周囲は「そういう先輩や友達」ばかりで、SFにしろミステリーにしろ「基礎教養」として読んでいなければならず、その手の話をしない日の方が少なかったくらいなのだが。私なんぞ、先輩の会話に何とか付いていこうとして、随分トンチンカンな発言をして恥をかいていたものだった。
 ともかく、オタクの輪が広がったとは言っても、彼らの大半は、やはりコミュニケーション不全の状態に陥っている。知識はあっても、ディベートの経験がないから、その知識を相手に「面白く伝える」術を殆ど知らない。相手を思いやる気持ちがないと言ってもいい。トリビアがネタだけの状態ではいっこうに興味を引かないのと同じ(だから濃い薄いはあまり関係ないのである)、あるいはオヤジギャグがシラケてしまうのと同じで、知識というものは、ナマのままでは決して他人の興味は引かない。「演出」というものが絶対に必要になってくるのである。

 ネットの、特にオタク系のサイトに参集する人たちの「痛さ」は、プロアマを問わず、何よりこの「会話不足」に原因があると思う。それが証拠に、表現のおかしさを具体的に指摘すると、たいていのオタクは怒り出すのである。言ってることが分らないから、こちらは「分かりたくて」質問するのである。別にバカにしたわけでもなんでもないから、本当は怒らなきゃならない理由なんて全くない。なのにどうして感情的になっちゃうかというと、会話不足で、日本語に不自由なものだから、こちらの発言の趣旨を汲み取れずに逆恨みしてしまっているのである。……別にそんな意図は全くないのに、こちらが意見を押し付けようとしていると思いこまれてしまったこともあったなあ。こうなると、もともとギクシャクしていた会話が、修復不可能なくらいに成立しなくなってしまう。少し冷静になって考えてみれば、こちらが人間関係を悪化させるために発言しているわけではないことくらい、見当がつきそうなものなのだが、でもその見当がつかないのが「痛いオタク」だってことなのだろう。
 判断力が停止してしまう、人の言ってることが理解できない、そのくせそれが自分のせいだとは考えない、どうしても冷静になれない、自分では気の利いたことを発言している気になっているが、実際にはいつまで経っても話術が洗練されていかない。そういう内容の発言が何十回何百回と繰り返されているのを見れば、これはもうオタクに関わっちゃ危険だと判断されても仕方がないだろう。
 ただ、オタクたちがそうなってしまったことに対しては、同情すべき点もないわけではない。オタクには、オタクであるというそれだけのことが原因で、周囲からいわれなき差別を受け偏見の目で見られ、結果的にそれが強い劣等感やトラウマとなって残ってしまった、という過去を持っている人が多い。その結果、「傷つきたくない」強迫観念が肥大してしまい、ちょっと批判されただけで勝手に自分がバカにされたという被害妄想に陥ってしまうのである。批判と中傷は全く別種のものであるのだが、そんな基本的なことも理解できないくらい、判断力を失ってしまうのだ。
 そこまでイッてしまえば、もう同情しても仕方がない。差別されたことがイタい行為の免罪符になるわけではないのである。SFが文壇から差別されているからと言って、文壇を差別し返せば、やってることは結局同じだということだ。そういう心理状態における発言は、ヨッパライの絡みと同じで、いやらしいばかりである。ヒガミでしかないものを、さもマトモな意見のように堂々と主張されても、受け手は困惑するしかないのであるが。……私が相手を心底バカだなあ、と思うのはこの時点になってであって、それ以前ではない。バカにされて怒る人はバカにされても仕方がないってことなんである。
 せめて、自分の常識が絶対に正しいという思いこみでモノを語ることだけはやめてもらいたいものなのだが。


 昼間は、入院中の日記をせっせと書く。外は雨なので、運動もできない。これは退院早々、カロリーコントロールに失敗かと思っていたが、夜になって、まだ湿気は残っているものの、雨はきれいに上がった。
 散歩がてら、しげが仕事に出かけている間に、キャナルシティまで『ゼブラーマン』を見に行く。もちろん行き返りとも「歩き」である。
 映画本編より、予告編の『CASHAAN』の恐ろしいまでに作りこまれた映像に圧倒される。マンガの安易な実写映像化はどんなもんかと思いはするが、出来がよければ小さな文句はキレイに吹っ飛ぶ。これは期待していいのではないか。
 お客はレイトのわりには結構入っていて、ざっと7、80人ほど。しげがワーナーマイカル福岡東に行った時には数人だったそうだ。それにしてもカップルが多いが、やっぱり「哀川翔」目当てで見に来てるんだろうね。その期待には答えられてないと思うけど。

2003年02月22日(土) オタアミV前夜祭/映画『ひき逃げ』
2002年02月22日(金) また買ったぞDVDBOX/『墨汁一滴』『ボクのらくがき帖』『石ノ森マンガ学園』(石ノ森章太郎)ほか
2001年02月22日(木) 霧の摩周湖(行ったことない)/『スレイヤーズすぺしゃる』2巻(神坂一・トミイ大塚)ほか



↑エンピツ投票ボタン
日記の表紙へ昨日の日記明日の日記

☆劇団メンバー日記リンク☆


藤原敬之(ふじわら・けいし)