無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2003年08月31日(日) 充実の休日。シャレかい/映画『乱れからくり』/『チキンパーティー』1巻(金田一蓮十郎)/『よつばと!』1巻(あずまきよひこ)ほか

 連休最後の日なんで、朝からテレビに張りつき。全部感想書いてたら、枚数がいくらあっても足りないので、ごくサワリだけを。


 アニメ『鉄腕アトム』21話「湖の怪物」。
 環境破壊の調査のために、恐竜が住むという伝説のあるドラゴンレイクを訪れた夕子とアトム。そこで二人は森林管理員のサラと出会うが、実はサラこそが金儲けのために不法投棄を重ねていた犯人だった。
 一方、アトムは、湖を調査中、恐竜を探し求める青年、沼田と知り合う。彼は冒険家である父の遺志を継いで、このドラゴンレイクにやって来ていたのだった。そこにやってきたサラの操る巨大ロボット。夕子を人質に取られ、アトムはどうすれば……。
 ありきたり過ぎる展開で、なんか話題にするのもなあ、という気がしてくる。サラが3人組のグループで「やっておしまい!」ってセリフを口にするのもちょっとねえ。


 日本映画専門チャンネル『乱れからくり』。
 泡坂妻夫の日本推理作家協会賞受賞作を映画化、作者本人も冒頭に焼鳥屋のオヤジで出演という、当時のミステリファンが待ちに待った作品だったんだけれど、原作を下手に改変したおかげで、グタグタの駄作になってしまった悲しい一作。まあ、一応ネタバラシはしないけどよう、あのネタはミステリじゃ「やっちゃいけない」禁じ手なのは常識なんだぞう。古典的なロマン小説、時代モノとかにはよく使われてたけど、現代ミステリでアレやったのって、横溝正史の少年モノくらいのもんだ。
 主演の松田優作が「こんな映画やってられるか!」と台本をひっちゃぶいて、脚本家に謝ったってやつがこれ。でも松田優作正しいよな。
 まあ劇場で見たときはまだ私も若かったら、今見りゃ少しはいいとこ見つけられるかと思ったけど、なんだかテレビ的で安っぽい繋ぎのカットや、安易なドラマ展開にますますダレちゃったのだった。


 チャンネルNECO『ちゃっきり金太』『続ちゃっきり金太』。
 山本嘉次郎監督による1937(昭和12)年製作の『エノケンのちゃっきり金太』(本作同様前後編だが、現在は総集編しか残っていない。助監督が黒澤明!)を三木のり平でリメイク、ということになってるけれども、ミステリファンならご存知の通り、これは『快傑ゾロ』の作者、ジョンストン・マッカレーの『地下鉄サム』シリーズを下敷きにしている。スリのサムが金太で、クラドック刑事が岡っ引きの倉吉に置き換えられている。
 榎本健一&中村是好のコンビを、三木のり平&有島一郎が演じているわけだが、エノケンのあとがまに起用された当時の三木のり平の「位置」がわかって面白くはあるけれど、まあ、エノケンほどの軽妙さがないのは如何ともしがたい。走りが違いすぎるし、のり平さんが歌を殆ど歌わないのもどうもね。声質がどうにも重いのである。後に森繁喜劇のワキに回ってしまうのも、主演作に恵まれなかったせいもあるのだろう。


 『ぬかものがたり』『お伊勢参り』『恋の羊が海いっぱい』。
 珍しい広告映画三本立て。最初の2本は『冗談音楽』の三木鶏郎グループ(三木鶏郎・丹下キヨ子・三木のり平・小野田勇)がナレーションを担当している。と言っても知ってる人少なくなったろうなあ。「ワ・ワ・ワ、ワが三つ」「明るいナショナル」「キリンレモン」他、数々のCMソングを作った人、と言えば若い人でも少しは見当がつきましょうか。三木のり平がブタの声当てをしているのには笑っちゃいました。
 三本目は羊毛のCM映画だが、歌の作詞が寺山修司で、歌手がペギー葉山。よくもまあ、こういう珍品を探し出してきて放送してくれたものと感心。
 ついでだけど、9/18に東芝EMIからCD『エノケン ミーツ トリロー ENOKEN MEETS TORIRO』が発売されるぞ。みんな買え。


 『忘れ得ぬ人』『夜霧に消えたチャコ』。1時間もののミニ映画。『忘れ得ぬ人』は「第1部」とあったから、てっきり2本目が続編かと思ったら何の関係もなかった。筑波久子はあまり好みではない。


 『LAST SCENE』。
 『リング』シリーズの中田秀夫監督による、昭和30年代と現代の、両方の映画界の内幕を描くロマン映画。ホラーではありません(^o^)。
 
 日本映画の黄金期、俳優、三原健(西島秀俊)はスターとして活躍していた。だが、青春映画の相手役としてコンビを組んでいた女優・吉野恵子(麻生祐未)の引退後、彼は会社から見限られ始める。「映画の時代は終わるのよ」。かつて愛人関係にあった恵子の別れ際の言葉が、三原の胸に突き刺さる。荒れる彼を更に直撃する妻、千鶴(若村麻由美 )の不慮の死。彼は酒に溺れ仕事を失い、人々から忘れ去られていった。
 35年の後、今やテレビの劇場版映画しか撮られなくなった撮影所に働く小道具係のミオ(麻生久美子)の前に、年老いた三原建(ジョニー吉長)が現れる。ほんの端役であったが、彼はまさに命がけの演技をミオに見せようとしていた……。

 映画を愛する中田監督の思いがヒシと伝わってくるような映画。年老いた三原を演じるジョニー吉長さんが絶品。これで役者が本業じゃないんだから参っちゃうよね。

 
 マンガ、金田一蓮十郎『チキンパーティー』1巻(秋田書店/プリンセス・コミックス・410円)。
 昔、マンガの単行本には必ず著者近影ってのが載っていて、赤塚不二夫はバカボンパパのコスプレなんかしてたものだったが、最近は自画像描いても写真をナマで載っける人は随分少なくなった。女性のマンガ家さんとなると昔から殆ど写真を載せない。で、描かれる自画像が誰も彼もメガネ掛けた丸顔だったりするから、区別つかないのね(^_^;)。
 金田一さんは珍しくも写真を載せ続けているが、いったい何でだろうと疑問に思っていたのだけれど(ペンネームが男名前なので女であることを主張するためかとも思ったが)、折り返しのコメントに「私はえらいポジティブシンキンです」と書いてあるのを見て、ああ、これかいな、と何となく納得した。勝手な憶測も入ってるけど、金田一さん、自画像なんかで自分を隠したり美化して見せたりするのがイヤだったんじゃなかろうか。読者だって、別にマンガ家さんのプライバシーを何もかも知りたいわけではないけれど、妙に隠されちゃうと、こいつもしかして後ろぐらいことやっとんちゃうかとか勘繰りたくもなるのである。露出を嫌うのもほどほどにしといてもらわないとねえ。

 また悪いクセで本のナカミとたいして関係ない話をしてしまったけど、別に内容を説明したくないわけではないよ。それどころか全く逆で、久々に大笑いが特盛のギャグマンガである。掲載誌は『月刊プリンセス』だそうだけど、こういう毒のあるマンガを読んで今の女の子は育っていくのだねえ(^o^)。
 一人暮らしの女子中学生、吉田毬央のマンションに突然押しかけてきた「トリ」。『オバQ』以来の「ヘンなやつの押しかけ居候」パターンではあるけれど、こいつのハタ迷惑さは尋常ではない。いやさ、普通こういう「押しかけ」パターンには「きっかけ」ってものがあるじゃないの。卵を拾ったとか地球の運命を賭けた鬼ごっこに勝ったとか。
 それが何にもないのである。
 「君が淋しそうだったから来てあげたよ!」
 惹句に「ウルトラポジティブシンキン」とあるが、単に勘違いなお節介野郎だ。つか、なんで「トリ」? 着ぐるみ着てるのか、それとも……。
 ともかく「地には平和を人には愛を」がモットーのこのトリさんが、毬央ばかりでなく、ご近所さんを巻きこんで、余計なお世話をしまくるのがこのお話。
 デパートの屋上から飛び降り自殺しかけたOLのお姉さんに、トリさんがかけた言葉が以下。
 「死んじゃうことに逃げ道を見ないで、もっと楽しいことに目を向けようよ! たとえばお家でマンガ描いたり気になる声優のCDを聴いて一人照れながら微妙な気分になりつつもほくそ笑むとか…どう? いや〜面白いよ声優。なんかクセになるからね! みやむーとか」
 どうと言われても、トリでオタクなんである。みんな次の瞬間に、こいつに殺意抱くだけじゃなかろか(まあ私はみやむーは好きですが)。ああ、愛は地球を救わない(^o^)。
 トリさんはすっかりご近所のウワサの的。おかげで毬央の部屋は、殴られ蹴られたトリさんの血飛沫で染みだらけ♪ もちろん殴っているのは毬央である(^o^)。
 しかし金田一さん、絵が上手くなったなあ。『ポンキッキーズ』か『セサミストリート』のキャラかと思うようなトリさんと、普通の女の子である毬央たちのキャラが自然に一つの画面で馴染んでいるのである。今時のマンガの一つの完成形って気すらする。『ハレグゥ』も随分キレイなアニメになったけれど、これもアニメ化することにでもなったら、アニメーターの技量が試されるな。単純そうな線に見えるけれど、単純だからこそ、ほんのちょっとした「歪み」が大なしになりかねないのである。
 いや、ホントにアニメにしてほしいぞ。でもって、トリさんの声は山口勝平か岩田光央がやってくれないものか。このお二人なら、思いきりぐーで殴りたくなるトリさんを心地よく演じてくださると思うのだが。


 マンガ、あずまきよひこ『よつばと!』1巻(メディアワークス/電撃コミックス・630円)。
 『あずまんが大王』のあずまさんの、4コマではない本格的ストーリーマンガ。一応、シチュエーションコメディにするつもりなのかな?

 新しく引っ越してきた小岩井さんちには、ちょっとヘンな、小さい女の子が一人いた。その名も「よつば」(「その名も」なんて言うほどではないな)。見るもの聞くものが初めてで、ブランコに乗って大ジャンプはするし、電柱に昇ってセミのマネはするし、クーラーを地球の敵と思い込むし(地球を温暖化してしまうからである)。いったいどんな環境で育ってきたのやら。
 お隣さんの綾瀬三姉妹、あさぎ、風香、恵那はいきなりよつばに振り回されて右往左往するけれど、真っ直ぐで衒いのないよつばのかわいらしさにどんどん惹かれていく。

 『あずまんが』もそうだったけれど、マンガマンガしたキャラで、誇張だって当然あるけれど、なぜかすごく身近に感じるのは、作者のあずまさんにキャラ造詣に関する一家言があるからだろう。
 あずまさんのHP『A−ZONE』に、そのへんの「思い」が語られてるので、ちょっと引用しよう。

 あずまんが大王の時もそうですが、私はいわゆる「○○系」といった型にはまったキャラメイキングはしたくありませんでした。そういう作り方をすることでその「系」が好きな人達がとっつきやすくなるというのはあると思うのですが、そういうキャラってなんか人形っぽくて嫌なんです。読んだ人が後で分類するのはいいですが、作るほうが分類で作っちゃキャラは生きてこないと思う。大阪はいわゆる「天然ボケ系」にカテゴライズされるんでしょうが、天然ボケ少女として描いていたキャラではありません。
 「よつばと!」はその辺を受けつつ、例えて言えば少し化学調味料を減らしてみた感じです。あずまんが大王とは違う調理法に色々とまどったりしていますが、必ずおいしいものを作ろうと思います。


 なんだか泣ける言葉だなあ。つか、あかほりさとる当たりに聞かせてやりたいぞ。
 『よつばと!』にだって、パターンに則ったキャラ造型はされてはいる。「三姉妹」って設定だって、これまでどれだけ描かれてきたことか。けれどあさぎはウルドでもかすみでもないし、風香はベルダンディでもなびきでもないし、恵那はスクルドでもあかねでもない。似て非なる造型が施されていることは誰でも気づくだろうが、さてそれがどんなのかと言われるとうまく言葉では説明できないところにリアルさがあるんである。説明になってないな(^_^;)。
 まあ、さりげないけど、風香が自転車停めるときに「よ」って声出すあたりとか。とーちゃんがバンツ頭にかぶって「パンツマーン!!」って叫ぶとことか。そういうのってありそうな気がしませんか? こういう「表現」が描けることが、このマンガを「強く」してると思うんである。
 リアルだけれども理想。「無敵」なよつばちゃんは、読者にとって一番、「隣にいてほしい」女の子なのではなかろうか。

2001年08月31日(金) おたくはセールス電話、おおくありませんか?/DVD『スペースカウボーイ 特別編』ほか
2000年08月31日(木) 耳掻きしてたら血が出た……/『心理試験』(江戸川乱歩)ほか



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