無責任賛歌
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| 2003年08月11日(月) |
水がまた来る/『さちことねこさま』1巻(唐沢なをき) |
午後から半日だけの出張である。 出張先、自宅から一本道なのだが、なぜかバスが通っていない。福岡というところは博多、天神間の交通の便ばかり考えられていて、他の地域は殆ど田舎同然である。亡き母は「福岡って田舎ですねえ」と遠方からの客に言われたときに烈火のごとく怒っていたが(言う客も客だが、怒る方もちょっとなあ)、実際、バス路線の不便さを考えるとそれも否定はできない。 言っちゃなんだが、福岡市とその周辺でせいぜい「街」と言えるのは「博多」と「天神」くらいしかない。あとはホークスタウンができてからの「百道」かねえ。言われて嬉しかないだろうが、他地区はやっぱり、軒並み「田舎」なんである。 粕屋とか箱崎とか香椎とかもねえ、いろんな建物おっ立てて「街」を活性化させようと頑張ってるけど、たいていの買い物、「博多」と「天神」で賄えちゃうから、近隣の客以外、そこまで遠出して買い物する必要ないんだよねえ。『エクセルサーガ』に某デパートが閉店するネタがあったけど、事実だからなあ、アレ(^_^;)。 久山なんか、昔はアスレチッククラブしかなかった山ん中に映画館だのスーパー銭湯だの市場だの作って、でもやっぱりなにか「目玉」になるものに欠けてる印象が強い。たまに行くたび、本当にたまたまなのかもしれないけれど、店内がガランとしてるの見ると、大丈夫かなあ、と心配になるのだ(もっと心配なのは博多リバレインだけど)。 もっともそんなふうに「適度に寂れて」いるおかげで、粕屋のワーナーマイカルとか久山のヴァージンシネマズとか、映画館は空いていてありがたい。喜んじゃいかんか。 その逆に天神東宝やAMCキャナルシティは、いつ行っても混んでいる。だもんで、最近そこでしか見られないって映画がかかってない限りは、とんと足が遠のいてしまった。ポイントカードが溜まってて、タダ券使わないともったいないんだが。
短く書かなきゃと思いつつ、また余計な話をしているが、つまり、「出張先まで交通機関がない」ということなのである。 で、夕方から仕事があるしげにムリヤリ頼みこんで、送り迎えをしてもらう。タクシー代を払うほどの余裕はもう今月はないのだ(T∇T)。 出張仕事、予定時間が少し遅れて、表に出たときにはもう5時。 外では新車に乗ったしげが、仕事に間に合うかどうか、イライラして待っていた。慌てて謝りながら車に乗った途端、稲光とともに豪雨に見舞われた。いやもう、あっという間に道が水没していく。 「こないだの水害のときみたいに、駐車場、水にしずまんかなあ」 「すぐ仕事に行くんやろ? 仕事先は水、大丈夫なん?」 「高くなってるから、あそこは大丈夫」 「だったら、仕事が終わっても、そこに置いたままにしといて歩いて帰ってくればいいやん。また迎えに行ってもいいし」 「最悪の場合、そうするけど……」 しげはそれでも不安そうである。 マンションの駐車場に到着した時点では、まだ一階のピロティは無事であった。就業時間が迫っているしげは、慌てていったん汗を流そうと風呂に入る。で、着替え始めるまでほんの20分ほど。いきなり玄関のホーンが鳴って、ご近所さんの顔が画面に映しだされた。 「はい、何でしょう?」 「藤原さん! 車が沈みようですよ!」 「えええええっ!」 慌ててパンツのまま(本当に驚いていたのである)、ベランダに飛び出したら、まさしく先日の悪夢の風景が再現されようとしているさ中であった。 轟々と流れてくる茶色い濁流が、今にも新車のタイヤをその下に隠そうとしている。 部屋に戻るやいなや、しげに向かって「急げ! もう大分沈んどう!」と叫ぶ。しげも血相変えて玄関から飛び出す。すれ違いざまぶつかりそうになるがお違い怒鳴りあってる余裕はない。やっぱりパンツのまま、ベランダから下の様子を覗いていると、しげ、水の中をジャブジャブと車まで辿りつき、そのまま濁流のの中を進んでいった。一応、こないだのように座席まで水が入りこむということはなかったようだが、これでまた新車がオシャカになっちまったら、泣くに泣けない。 今年の夏はなんか一気にいろいろ来るなあ、そう言えば今年は、後厄だったなあ、厄除けなんて特にしなかったけどまさかそのせいかなあ、とか、普段は全く考えないことがアタマに浮かぶ。 とりあえず部屋に戻って、テレビを点けたのだが……。 映らない。 顔が蒼白になる。明らかにこの雷雨のせいなのだが、今まさにレイ・ハリーハウゼンの『世紀の謎・空飛ぶ円盤地球を襲撃す』がNHK−BS2で放映されていて、それを録画しながら見ようとしていたところだったのだ。 あああああ、雨の野郎めえええええ! 天に怒っても仕方がないので、怒りはやはり福岡市の市政に向かう。こないだの水害で、市は警戒サイレンをあちこちに設置すると発表していたのだが、今回もそれは間に合わなかったようだ。よしんば設置されたところで、鳴らすのが遅れればそれまでである。どの程度役に立つものだろうか。
父と姉が心配になったので、電話をかける。「なんや」と、父のいつものぶっきらぼうな声が聞こえて来る。 「そっちはどげんね? こっちはもう一階が水没しとうばってん」 「おう、店ん前は川になっとうぜ。こないだ溝に泥ば流しとうけん、水がはけんとたい」 暗に道の掃除をした私を非難しているのだが、かと言って、店の前にヘドロを放置しておくわけにもいかないだろう。リヤカーなんかで泥をどこかに運ぼうにも、そのリヤカー自体、持っていないのである。 生前の母は、自分の責任で何かしたことを、初めはたいして何も言わないで見過ごしてるのに、何かが起きた後になって、こんなふうにイヤミを言う父のクセを、ものすごく嫌っていた。父は70になろうとするこのトシになっても、その悪癖が治っていないのである。私もやや父のモノイイにムッとはするが、心配して電話をかけたのに口ゲンカになっても仕方がないので、そのままやり過ごすことにする。それにこういうイヤミグセ、父ほどではないが子である私にもしっかり伝わっている。父に向けた刃はそのまま私に返ってきてしまうのだ。 「どげんすると? また椅子とかブロックの上にあげるんね」 「どげんするかはまだわからん。最悪の場合はそげんしてシャッター閉めて帰るしかなかろうばってん、ぎりぎりまでここにおって様子ば見とく」 何かあれば呼んでくれ、と言って、電話を置く。幸い、それから10分ほどして雨は上がった。どうやら今年初めての、そして典型的な夕立だったようである。
マンガ、唐沢なをき『さちことねこさま』1巻(エンターブレイン/ビームコミックス・651円)。 オビに「唐沢なをき初(?)のシット・コム」とあるが、さて、そう名付けていいものかどうか確かに(?)だわな。まあ面白けりゃなんでもいいのである。 筋を書くのはめんどくさいんでオビの惹句をそのまんま引用。 「かわいいメガネっ娘と不思議なねこが大活躍!! 貧乏でいたいけで業の深いメガネっ娘・薄氷(うすらい)さちこ。彼女がイジメられると出現する“ねこさま”の正体とは!?」 まあ、これはネタバラシしても構うまいが、一見動物に見えるこの物体、「アタマノサキニアルモノ」という先祖代々の「業」が凝ったものなのである。普通は人の目には見えないはずなのに、とびきり業の深いさちこのそれはしっかり見えちゃうだけでなく、エサは食うわ人は襲うわ海苔は食うわしっことうんこをしまくるわネズミやヘビをおみやげにくれるわ、狼藉のし放題なのであった。 「シットコム」というだけあって、確かに設定が揺るがず、文法破壊もないが、そういうのは本当は「唐沢さんらしくない」マンガになるはずなんである。ところがいつもの唐沢さんのマンガと違和感がさしてないのは、やっぱり登場するキャラクターが全ていつもの粘着質でデンパなやつらばかりだからなんだな(^o^)。けど、これまで一度もアニメ化されたことのない唐沢作品の中で、これが一番アニメ化向きなんじゃないかなあ(個人的には『蒸気王』をアニメ化してほしいんだが)。唐沢なをきメジャー化計画で(それなりにマニア受けはしていようが)、どこか勇気のあるスタッフ(IGとかマッドハウスとか)、一本作ってみないか。
2002年08月11日(日) 島田賢志君、元気?(読んでねえって)/DVD『∀ガンダム�供〃邯�蝶』/『キカイダー大全』(岩佐陽一編)ほか 2001年08月11日(土) 代打日記 2000年08月11日(金) 小心者は女房に内緒で寿司が食えるか?/『冥王と獣のダンス』(上遠野浩平)ほか
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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