無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2003年07月02日(水) ストレスは溜まるようになっている/映画『復活の日』

 眼科医から「2ヶ月くらいは安静にしてなさい」といわれていたので、この先2ヶ月ほどに予定していた出張、旅行の類を一切キャンセル。
 とりあえず明日、明後日のものはなかったから、いきなり誰かに迷惑をかける、という事態にはならなかったものの、やはり何人かの同僚からは仕事が自分に回ってきたことでイヤな顔をされる。
 いやね、ホントに仕事したがらない人っているのよ。そのくせ、家に帰らないで残業だけはしょっちゅうしてるんだから、何を考えてるのかよくわからん。
 私の場合、誰かが急な病気で休んだときには全く平気な顔で仕事を引き受けてるのに、ちょっと不公平かな、と思う。


 例のちょっと、というか、最近はかなりアブナイ同僚が、ツイ、と私のそばに近づいてきたかと思うと、無言でいきなりクスリの袋のようなものを二つ、手渡してきた。
 一瞬、覚醒剤か何かかと思ってビクッとする。けれど袋をよく見ると、表面にハングル文字が書いてある。
 「……なんですか? これ」
 「しょうが湯」
 それだけ言うと、さっさと向こうに行ってしまった。
 ……え〜っと、つまりこれは私へのプレゼントだろうか。でも普通、何の説明もなしにいきなりこんなもん渡しゃしないよなあ。「韓国に行ったお土産です」とか(と言ってもこの人が韓国に行ったのかどうかは知らない)、「これでも飲んであったまってくださいね」とか、なにか挨拶のヒトコトくらいありそうなものだ。いきなりただ渡されてもなあ、どんなリアクション取ればいいのやら。
 しかもこの「ふた袋」という中途半端さは何なんだろう。箱買いして同僚たちに少しずつ配ってるっていうのならそれも分かるのだが、なにしろこの人、みんなから嫌われてるので、こなさんに配ってる形跡はないのである。
 えーっと、私はこのしょうが湯、飲んでいいものなんでしょうか。


 研修の名目で、某病院のカウンセラーの方の講釈を聞く。
 要するに「仕事のストレスから開放されていかにリラックスするか」ということなのだが、なんか大々的に全社員を集めてやんなきゃなんないことなんだろうかね。仕事上のストレスは解消できないからストレスになってるんだから、たかが講義の一つや二つで楽になるんだったら、とっくの昔に自分で何とかできてるだろう。こういう時間を設けられて強制参加させられる方がよっぽど仕事の時間が削られて迷惑なんだけどねえ。
 場所はかなり広めの会議室で行われたんだけれど、カウンセラーの方がまず、「自由に移動して、自分が一番リラックスできる場所を探してください」なんて言うのである。会議室のどこにそんな場所があるか(-_-;)。でも私は暑がりであるので、さっさと窓際に移動する。外は小雨だが、ちょっと顔が冷たくなるくらいが気持ちいい。
 そこでカウンセラーさんが「楽な姿勢で」とか「足を伸ばして」とか言うんだが、まあその通りに実行する人はあまりいない。私を含めて数えるほどだ。そりゃ当たり前の話で、上司がズラリと並んでる前で、いきなりリラックスできる度胸のある人間がそうそういるわきゃない。私が平気でそれをできるのは職場への帰属意識が低いからで、一般的には誉められたことではないのである。
 カウンセラーさんがしきりに「これができないのはストレスが溜まってる証拠ですよ」と仰るが果たしてそれはどうかね。日本人の場合、組織に所属し、一律の行動を取ることで安心感を得る場合の方が大きいんじゃないか。神経の細い人なんか、ちょっと人と違う行動しただけでビクビクしちゃうことってあると思うけど。なんかこのカウンセラーさん、アテにならんなあ。
 次に絵ハガキを何十枚もたくさん見せて、「この中で気になるものを取り上げてください」というもの。その絵がどうして気になるのか、じっと見つめて考えてみましょう、ということだけれど、ゲームの心理テストみたいな感じで、これもリラックスに関係があるのかどうか今一つピンとこない。
 私が選んだのは、薄汚れたマンションを仰角で見上げた写真で、背景には青い空と白い雲が広がっている。マンションはその一部しか映っていないので、写真に占める面積は空の方が大きい。
 自己分析のクセがついてない人には、なぜ自分がそれを選んだのか、なかなか見当がつかないものなのだろうが、画像分析に慣れていればそれは特に難しいことではない。例えば私の選んだそれは、私の自殺願望を表しているのであって、薄汚れたマンションは私の自我の投影だし、空は「開放」の象徴である。また、自己と他者はその位置を容易に転換しえるから、これは他者の自殺願望を否定したい自己の意志の表れでもある。
 その程度の自己分析ができていれば、自らの心のコントロールはまあまあ可能なので、ストレスの解消の仕方も自分で分かるし、実際に私が自殺するような事態に陥ることはまずなかろう。でも、大事なのはその程度のことはやろうと思えば誰にだってできることなので、ヘタに自分のプライドを肥大させて自らを特別視しちゃいかんよってことなんである。自己分析ができない人間がストレス溜まりまくりになるかっていうと、そういうものでもないからだ。
 「自分がなぜこれを選んだのかよく分らない」と首を捻っていた同僚もたくさんいたが、わかんなくてもいいんじゃないの。今が幸せなら、わざわざ波風立てるこたないのである。
 てことは今日のカウンセリング、ホントに何の役にも立たないってことになるんだけど、この研修って、「日本のカウンセリング状況は、未だいかがわしいレベルにある」って教えてくれるためのものだったんですか。
 

 疲れて帰宅。
 新番組「トリビアの泉」を見る。新番と言っても以前は深夜ワクでやってた豆知識番組で、今回の第20回から堂々のゴールデンタイムへの進出。でもこんなの視聴率取れるんかいな。
 唐沢俊一さんがスーパーバイザーやってることを知ってたので見てみたが、豆知識の量がともかく少ない。こういうのはヘタにゲストを呼んでスタジオ形式にするんじゃなくて、取材フィルムは使っていいから、もう少し量を増やして中身が濃い印象を与えた方がいいのである。中村玉緒のコメントなんて聞いてどうするんだ。
 でも金賞取った「電話の時報案内の声は中村啓子さんという人である」っての、なんか面白いんかね。ゲストもみんな本気で面白がってたようには見えなかったんだが。
 子門真人の『スターウォーズ』も久しぶりに聞いたけど、こういうのも何かツッコミが入らないと、別に面白くも何ともないのである。で、タモリを初めとして、司会者の高橋克実、八嶋智人もこのツッコミが超絶的にヘタ。でも今やこういうバラエティ番組の司会者は決してうまくちゃいけないのである。だって今の視聴者ってみんな根拠もなくプライドだけが高いから、自分よりバカなヤツでないと見ようとしないからね。
 番組スタッフの中にシティボーイズライブの演出を担当していた三木聡さんの名前も見つける。この人も豆知識好きだからなあ。スタッフは充実してるのにどうも印象がつまらないのはディレクターがアホだからなんだろうな。


 CS日本映画専門チャンネル『復活の日』。
 これも昔見たときには、「作ってるヤツだけが感動してる」一人よがり映画だなあ、と、2時間半がタルくてタルくて仕方なかったんだけど、原因はやっぱり役者たちの思わせぶりたっぷりな時代劇演技がつまんなかったからだろうねえ。特に日本人の方の。
 SFはさあ、その空想の基盤を支えるためには繊細で緻密な描写が必要なんだけど、深作監督にそれを要求するのはムリだ。うねりのあるドラマを作るのにはもっとも不適な人を選んじゃってるんだよなあ。
 役者陣の中で「いいな」と思えたのって、ジョージ・ケネディくらいのものだったし、その印象は今も変わらない。昔見て今見て印象に変化がないというのはそれだけ中身が薄っぺらだったということである。
 一応、当時大ヒットを飛ばしたこの映画、けれど製作費がそれ以上にかかっちゃってたので、角川映画の大作路線はここで一つの終焉を遂げる。その後の角川映画はアイドル路線、アニメ路線、何だかよく分らない映画路線(^o^)と変遷を遂げて、今の「で、何を作ってるんだよ」路線に至るのである。
 しかし、一般的には演技派として見られている渡瀬恒彦を私が「大根じゃねえの?」と思ってしまうのは、南極で錯乱して雪の中に飛び出してっちゃうトホホな芝居を見せられてるからなんだよなあ。この映画の一番の欠点は、個々人の絶望が「点景」としてしか描かれてない点なんで、悲惨さが観客に伝わってこないのである。渡瀬恒彦にしろ、多岐川由美にしろ、ちゃんと死ぬとこ見せなきゃ意味ないやな。あと、キリストと草刈正雄が字幕で会話するシーンは『バトル・ロワイヤル』と見比べてみるとなかなか笑えます(^o^)。
 当初から海外戦略の狙われていた作品だったが、レナード・マーティンの星評価では★★1/2でまあ、普通。「南極大陸の景色はキレイだけど、お話は長すぎてしかも紆余曲折」と、あまり誉められてない。確か海外版は編集が日本のと変えられてて、ラストは人類滅亡で終わってたってのなんかで聞いたことあったけど、ほんまやろか。だったら物語は随分単純化されてるはずで、それてもこの評価ってのがちょっと頷けないのだが。

2002年07月02日(火) アニメ見るのは浮気じゃないよん/アニメ『最終兵器彼女』第1話/『エクセル▽サーガ』9巻(六道神士)ほか
2001年07月02日(月) ばとんたっちorあとはどうなと/『赤い雲』(西岸良平)ほか



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