無責任賛歌
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|藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2003年02月24日(月) オタクアミーゴス in 九州 V(ファイブ)�◆拭慷咾里Δ拭截郡�(完結/冬目景)ほか

 23日の日記の続き。


 打ち上げまで、1時間ほど時間が空いたので、エロさん、アンジェさん、愛普羅さん、よしひと嬢、下村嬢と、近所の喫茶店でコーヒーを飲む。
 次回以降のオタアミについて、エロさんにいろいろ持ちかけるが、こちらもあまり具体的なところまでは考えていないので、エロさんも曖昧なご返事。というか、もう何度も公演を続けてきて、相当疲れてもいるのであろう。
 エロさんがいなければ、オタアミ自体、開けるものではない。それに、始まったものもいつかは終わる。しかし、今日の公演の大拍手を見ていると、さて、オタアミ公演は、そも、誰のためにあるものか、ということも考えざるを得ない。終わる時期をいつに定めるか、ということも含めて、「今後」を考えていかねばならないことも、また事実であるのだ。
 自分の生活の明日もわからぬ人間がこんなことを考えるのはおこがましくはあるのだが。

 下村嬢、うずめ劇場の公演がもう来週に迫っている、ということで、「チケット買ってください」と売りつけてくる。
 「昼の部と夜の部と、どっちがいいですか?」と聞くので、「どっちでも」と答えたら、「夜はオッパイが出ますよ」と言う。
 「下村さん、脱ぐの?」と聞いたら、「私じゃないけど、ほかの人が脱ぎます。昼は子供連れも来るんで脱がないんですけど」とのこと。
 「まあ、あるもの見ないのも損だし、夜の部にしようか」と言ったら、途端にしげの機嫌が悪くなる。
 「あっそ。オレは昼の部に行くから」
 「なんで? オレと一緒の行動はイヤかい」
 「そうじゃなくて土曜日やろ? もしもエロさんとこで上映会があったら、それに間に合うように帰ってこんといかんやん」
 「じゃあ、オレも昼の部に行くよ」
 「なんで? オッパイ見れんよ?」
 「別にオッパイ見たくて行くわけじゃねえ!」
 しげとのヤリトリを見ていた下村嬢、ケラケラ笑って「これが見たかった。福岡まで来た甲斐があった」と喜んでいる。
 全く、夫婦のプライバシーを垣間見て、それを笑いものにするとは、なんと不謹慎なことだろう。こういうモラルに反することは、人としてやっちゃいけないのである。

 そろそろ時間になったので、打ち上げの居酒屋に移動。
 奥の座敷に案内されたが、足元が掘になっているところと、畳のままのところに分かれている。いつもならば、掘はほかの人に譲るのだが、今日は足がもう限界に近づいてきてきているので、掘の方にサッサと座る。
 アンジェさん、「絶対に医者に行った方がいいですよ」と私の足を気遣ってくれるが、行って治るってものでもないことは自分でもわかっているのである。できることなんて、せいぜい、足を暖めることくらいのものであろう。
 ほどなく、アミーゴスのお三方や、残りのスタッフも到着。
 岡田斗司夫さんは、打ち上げまでの間、「ホテルのプールで泳いでくる」と仰っていたのだが、ホントに泳いできたらしい。ダイエットに本気で取り組んでおられるのだなあ。体調が悪くなるたびに入退院を繰り返して体重を落とし、なんとかゴマ化してる私なんぞとは意志の力が違うのである。なんだか表情まで柔和になられたようだ。

 メインはアラ鍋。『美味しんぼ』で「博多の人間はアラ鍋を何にもまして珍重する」と書かれたおかげで有名になっちまったアレである。もちろんそんなのは雁屋哲のウソなんで信用しないように。美味しがって食わないとまでは言わないが、基本的に博多は魚がなんでも美味いので、これが特に極上、というほどのものはないのだ。第一、ここは天神で、博多じゃないしなあ。
 けれど、山ん中のホテルに泊まったときなんかに、しおれたシャケとかが出てくると、つくづく博多って魚どころなんだなあ、とは思う。みんなでつつくからどうしても鍋になるけれど、やっぱり一番美味いのは刺身だよな。でも、これも最近は多少の高級料理店でなきゃ、ホントに美味い刺身を食えなくなってきた。
 不況のせいか、料理自体は美味いのだが、コースを頼んでるはずなのに、やや分量をケチっている感じである。私のいたテーブルは武内さんが見事に鍋奉行となってくれたおかげで、ゆっくりと体を温めるように食べられたのだが、しげのところはやっぱり具をいきなり全部ぶちこんでサッサと食いつくしてしまっていてたので、ZUBATさんから「アンタ、間違ってるよ」と突っ込まれていた。

 酒を飲んだわけでもないのに、私も気が大きくなって、よしひと嬢や愛普羅さん、アンジェさんを前に、いつのまにかSF・アニメ談義を吹っかけていた。
 エラソウに「SFの浸透と拡散」なんてことを喋っていたのだが、考えてみたら私の真後ろは岡田斗司夫さんなのである。まさに釈迦を前に説法をしているようなもので、冷や汗ものであった。
 よしひと嬢、「見たい映画もたくさんあるんですけど、見る時間がない」と愚痴る。「黒澤明と岡本喜八くらいは追いかけたいんですけど」。
 思い返せば、その昔、黒澤明の『隠し砦の三悪人』『蜘蛛巣城』によしひと嬢を誘ったのは私であった。「押井守を私に見せたのも有久さんですよ。洗脳されてますね」と言うが、これを面白がってくれそうだなあ、と見当のつく人にしか、私は本も映画も奨めたりしないのだ。素質があった、ということで自信を持ってほしいんだけれど。

 アミーゴスのお三方に私は背中を向ける格好で座っていたので、詳しい話はチラチラとしか聞こえてこなかったのだが、唐沢さんがエロさんにかけられている優しい言葉を聞いていると(例によって具体的なことは書けませんが)、唐沢さんは後年のプロデューサーとしての江戸川乱歩を目指しているのではないか、という気がしてくる。あるいは、自然主義に対する漱石山房であるか。
 唐沢さん自身は孤高の人であろうと思うし、また、孤高であらねばならぬと考えているとも思う。しかし、それは社会と隔絶した思想、人生を持ちたいと考えているわけでは決してない。
 乱歩が育てた戦後派の推理作家たちが、一人の「芭蕉」を生み出すための土壌となっていたように、また、漱石山房から輩出した人材が、文学者に留まらず既存の文学・科学・芸術に対するカウンターカルチャーを作り出していったように、唐沢さんは自らを裏モノ文化の礎となるべく、自身の方針を定めていらっしゃるのではなかろうか。漱石も乱歩も孤高ではあったが、そのもとに数多くの人材は集まった。
 東京では唐沢さんの跡継は鶴岡法斎さんということになる。福岡では、いや、九州ではそれがエロの冒険者さんということだし、もちろん唐沢さんもエロさんに期待をかけていらっしゃる。つまりエロさんは、漱石における芥川、乱歩における清張たらねばならないわけなんだが、一つだけ、どうしてもこれだけはクリアしなきゃならないんじゃないか、という問題があるのだ。
 エロさん、これからもずっとそのハンドルネームなんですか(^_^;)。

 岡田さんはやや早めにご退出、その後10時を回って全体も散会。
 2次会に行くかどうかをしげとよしひと嬢に聞いてみたが、しげの顔、既に人間のものではない(^_^;)。返事も「好きにしたら」ともう脊髄反射である。睡眠が命のしげが考えてみたら、もう35時間ほど、起きたままなのである。よしひと嬢も明日は仕事というので、ここで引けることにする。幸い、地下鉄もバスもまだ走っている。

 帰宅した途端に、しげは爆睡。
 明日のことを考えると、よしひと嬢にも休んでもらわなければならないのだが、つい、『ジャングルはいつもハレのちグゥデラックス』だの、『ビリィ・ザ・キッドの新しい夜明け』の一部だのを見せてしまう。
 まあ、うら若き乙女を洗脳することくらい楽しいことはないし(^o^)。



 ここから2月24日の日記。

 オタアミにかかりっきりだったので、昨日は日曜の番組を何一つ見ていないのだが、『新婚さんいらっしゃい』に、ナベシンことワタナベシンイチ監督が出演したそうなのである。
 ナベシン監督、多分、私より二つくらい年下だと思うんだけど、まだ独身だったのか。結婚してもアフロにルパンのスタイルで通すのかなあ。というより、それを許してくれる人じゃないと、結婚しようって気にならなかったと思うけれど。
 

 平日ではあるが、今日は仕事休みの日。
 別にサボリではなくて、休日出勤の振り替えなのである。
 よしひと嬢、午後から出勤というので、しげに博多駅まで車で送らせようと思い、声をかけるが、まるで目覚める気配がない。
 ムリヤリ体を抱きかかえて起こすが、またそのまま倒れて布団の中にもぐりこんでしまう。
 よしひと嬢、「あの、遅くなるんでこれで帰ります」と言って、しげにも声をかけるが、しげ、寝たままニヤニヤ笑うだけ。気持ち悪いぞ。


 昨日、買った同人誌などを一日読み耽る。
 もう、感想は簡単にすませますからね、それでカンベンしてね(T∇T)。

 唐沢俊一・眠田直『トゥーン大好き!』。平成13年2月7日に新宿ロフトプラスワンで行われたトークライブを再構成したもの。
 唐沢さん、眠田さんが見られていた海外アニメと、自分の記憶で見ていたものとが殆ど一致していることがまず嬉しい。
 しかし、やはりすばらしいのは、唐沢さんのアニメに関するウンチクが実に正確なところだ。唐沢さんは著作の対象となる守備範囲がえらく広いので、どうしても「裏モノ」中心に語られることが多くなってしまう面があるが、かの杉本五郎(つゆき・サブロー)氏のお弟子さんでアニドウにいらしたこともあるのだから、本気でアニメの歴史を語らせたら、日本でも有数の存在であることは間違いのないところなのだ。
 「Tex Avery、今はエイヴリーと発音するらしいんですけれども、私から言えば絶対『アヴェリー』ですね」なんて発言に相好を崩される方もきっといらっしゃるはずだ。

 ソルボンヌK子『UA!ライブラリー3 おとこ足の少女(谷ゆきお)』。
 いやもう、「け、毛が生えている!! それも黄色い毛が!!』のインパクトの強さには敵いませんな。
 恋人を奪われ嫉妬に狂った女医が、相手の女の娘の足を、手術で外人の男の足と取り替えた、というのが「おとこ足」の真相。……んなひとできるか。っつーか、復讐するのにそんな方法を思い付いたアタマの構造が……。
 併録の小林将二『黒い真珠』の思いきりのいいパクリも凄い。宝石盗賊団ブラックウマウマ団の操るロボットが、まんま鉄人28号の模写。名前だけは「鉄人ウォッカ」に変えてるけど、意味ないよなあ(^_^;)。

 唐沢俊一『恐怖の巨顔女 アメリカンバカコミック』。
 「バカの本場はアメリカである」というのはホントだと思うな。だってアメリカのマンガで「傑作」と言われるものでも、手塚治虫や石森章太郎、藤子不二雄の足元にも及ばないし。でも、それがアメリカを貶めることにならないのがアメリカのアメリカたるところだろう。映画を見ててもわかるが、アメリカは「バカ」こそが文化の神髄としてあるのだ。
�.献ДぁΕ�ネイ『紅衛兵の恋』。
 文化大革命万歳! 毛沢東万歳! 生殖的関係万歳! そういうマンガです。
�∈郤塢埔棔惷欧襪戮�美貌』
 えー、これがタイトルの「巨顔女」ですね。醜いアガサは、美しい妹ジョイを妬んで硫酸をかける。ジョイは仕返しにアガサに、「美貌の呪い」をかける。アガサは美しくなったけれど、でもその顔は巨大化していた。
 ……だからなんでそんなややこしい復讐の仕方をするのだ。
��ロン・ウィルバー『ウルティマ・ウーマン』。
 宇宙から地球を守るためにやってきた正義の超人ウルティマは、宇宙防衛隊エミーとリックが「合体」したとき現れるのだ。でもリックは嘆いた。「ボクたち、地球が侵略されるまでHできないじゃん!」……バカだなあ(~_~;)。
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 宇宙船の乗組員が船内でHしまくるだけのマンガだけど、描いてるのが日系人なもんで、宇宙船の名前や人物の名前がもうフザケまくり。
 「ホンバン号」に「ヤリマン号」、小型艇の名前は「コダネ」だ。平仄は合っているな(そもそも平仄って言えるのか)。「タマタマ司令」に「キンタマ隊長」、ほかにも「エロエロ」とか「イッチャウ」とか「チンチン」とか。
 ……思い出したけど、高校生のころ、芝居の脚本を書いてくれって友達に頼まれて、原案を渡されたんだけれど、その主役の名前が「増加希陽」。一目見て、「この名前は却下ね」と言ったら、その友達が「やっぱわかった?」と笑いやがった。ウチの母校、福岡県下では名門で通ってるんだけれど、実態はバカばっか(^_^;)。


 夕方、ぴんでんさんから電話。
 オタアミ公演に使ったビデオカメラを返しに行きたいとのことであったが、そろそろしげを起こして、食事に出かけようかというところだったので、明日以降にしてもらうことにする。
 「しげちゃん、まだ寝てるんですか!」とビックリされる。夜中に寝入ってから、そろそろ16・7時間になるので、ぴんでんさんが驚くのも当たり前ではあるのだが、しげがいったん寝たらなかなか起きないことは、この日記にも何度も書いている。
 さてはぴんでんさん、私が誇張して書いてると思ってたな(^o^)。
 「いいなあ、私、今日は朝から仕事なのに。有久さんは休みを取られたんですか?」
 「いえ、休日振替で、もともと今日は休みなんですよ」
 「いいなあ!」
 でもまた私ゃ休日に出勤するんですけど(^_^;)。
 掲示板に「オタアミ当日、しげが爆発寸前だった」と私が書いていたので、ぴんでんさん、「何かしげちゃんを怒らせるようなことでもしましたっけ?」と心配している様子。でもそりゃ、深読みのしすぎってものである(^^)。
 イベントのたびにしげの神経が高ぶることも、私ゃしょっちゅう書いてるんだけどなあ。だいたい何か問題があって、そのことを非難したいのなら、普通、「いろいろとトラブルはありましたが」という書き方をする。しげ個人のことしか書いてないのだから、それ以上の意味はないのである。
 一応私も、初めてこの日記や掲示板を読む人のために、できるだけ説明を加えるようにしてはいるが、毎回毎回、それまでの経緯を繰り返して書いてもいられない。そんなことをしていたら、日記の書き出しにいつも「この文中に出て来る『しげ』というのは私の妻のことで大バカ者です」と前説を付けねばならなくなる。ただでさえそれに近いことをやってて、しげから文句つけられてるというのに、そんなことをしたらますます家庭争議の火種になるというものだ。多少、説明不足な文があったからと言って、いちいち気にせずに、読み飛ばしてもらいたい。


 マンガ、冬目景『羊のうた』7巻(完結/幻冬舎/バーズプレミアム・限定フィギュア付き・2310円)。
 店頭に置いてあったのがフィギュア付きだけだったので、これを買う。しげはそういうのいやがるんだけど。けれど浅井真紀さん原型政策のこのフィギュア、なかなかのいい出来だ。しげがこういうのに興味を持ってくれないのはちょっとサビシイ。
 マンガのラストの方は、私が冬目景という「作家」を過剰に高く評価していたために、つい、「普通じゃねえ?」という感想を持ってしまいそうになったが、考えてみたらスペクタクルな結末に至るような物語ではないのだった。
 「隠棲する吸血鬼」というジャンルがあるものかどうか、しかし、血を吸わねば生きられぬ自らの身を呪い、運命にあらがう吸血鬼たちの悲しみを静かに描いた作品として、本作は記憶に留めて起きたい一作である。これから読む人のために、結末は伏せておきたい。
 完結させて作者の気が抜けたのか、表紙絵がえらくデッサン狂ってるんだけど。

 『羊のうた』はビデオアニメ化が決定したそうだが、さて、マンガの静謐な雰囲気が再現できるものかどうか。製作はマッドハウスだけれど、あそこ、実力はあるのにどうも演出が過剰でハズしちゃうことも多いしなあ。
 以下に、スタッフ・キャスト名を挙げる。

 原作   冬目 景
 監督・脚本・絵コンテ  杉井ギサブロー
 キャラクターデザイン  瀬尾康博
 制作   マッドハウス
 キャスト
  高城千砂  林原めぐみ
  高城一砂  関  智一
  八重樫葉  雪乃五月
  水無瀬    三木眞一郎
  江田  新 小杉十郎太

 声優に新人さんばかりを使う愚は避けてるけれど、やや手垢のついた印象もなくもない。雪乃五月さん、『トライガン」のころから知っちゃいるんだけど、まだ声を聞き分けできないなあ。

2002年02月24日(日) ベスト・オブ・ザ・魔女っ子/DVD『コメットさん☆』BOX SIDE A/『ワンピース RED』(尾田栄一郎)ほか
2001年02月24日(土) それはせんせい/アニメDVD『エクセルサーガ』への13巻(完結)ほか



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藤原敬之(ふじわら・けいし)