無責任賛歌
日記の表紙へ昨日の日記明日の日記




ホームページプロフィール掲示板「トーキング・ヘッド」メール
藤原敬之(ふじわら・けいし)

↑エンピツ投票ボタン(押すとコメントが変わります)
My追加


2002年05月21日(火) ハコの中の失楽/『KATSU!』3巻(あだち充)/『アリソン』(時雨沢恵一)ほか

 なんだか更新遅れが常習化しておりますが、HPの立ち上げを含めて、まだまだ諦めてはおりません。あまり間をトバしてると、ナカミ忘れてしまいますので、遅れ気味ではありますが、順繰りに書いて行きますので。


 平日だけれども、今日はしげの仕事は休み。
 どの店も全て同じ態勢なのかどうかは知らないが、しげの働いてるリンガーハットは、休みの希望は出せるのだけれども、シフトを組むのは店長さんに一任されているらしい。だから、実際に休みがいつになるかは直前にならないと分らないことも多いのである。
 一応、昨日から今日は休みだと言われていたので、滅多にない機会だから買い物につきあうことにする。仕事のある日だと、一日のうち顔を合わせられる時間が2時間もなかったりするので、「今日は疲れてるからやめようよう」なんて言ったりできる雰囲気ではない。
 しげは新しいストラップがほしいと言う。
 ストラップなんかなんでもいいじゃないかと思うんだけれど、しげにはしげなりの拘りがあるらしい。
 「博多駅に行くよ」
 「ああ、ダイソー?」
 「そんな100円グッズじゃなくて、キャラものとかそんなのがほしいの」
 「それなら天神で買った方がよくないか?」
 「天神でもいいけど、どこ探せばいいかわからん」
 「イムズあたりならファンシーグッズの店とかあるだろ。スヌーピーの店とか」
 「スヌーピーしかないやん」
 「そんときゃ他の店に廻りゃいいじゃん。ベスト電器もあるし」
 私の目算としては、ついでにDVDを買いたかったので、ベスト電器に寄りたかったのである。うまいことしげを舌先三寸でだまくらかして、天神行きが決定。
 車は比恵の駐車場に置いて、地下鉄に乗る。
 でもやっぱり、ものごとってのはそうトントン拍子にウマイ具合に行くわけではない。
 肝心のイムズが、あいにくの定休日。
 しげ、「オレが来る時いっつも休みだ」と腹を立てる。
 自分はイムズに嫌われてる、と言いたいらしい。
 この「世間の全てが自分のことを嫌っている」というのは、しげがヤツアタリする時の常套句なんだけれども、次の段階で矛先が私の方に向かってくることは予測がつくので、さっさと別の店にしげの注意を向けさせねばならない。
 福家書店にはストラップは置いてない(当たり前か)。
 ベスト電器を回って、もしもしげの気に入るものが無ければ、アニメイトあたりまで足を伸ばすしかないかな、と思いつつ、地上に出る。
 幸い、ベストの一階で、なんとかしげのメガネに適ったブツが見つかる。
 首から下げらけて、しかもヒモの長さが調節できて、更に本体とアタッチメントで切り離しができるようなのがほしかったようだ。……って、ファンシーグッズである必要ないじゃん。
 当初の目的は果たしたので、LIMBでDVD『パワーパフガールズ/バブルス缶』と『コメットさん☆BOX2』ほかを購入。ここんとこボックスが立て続けに出るので、他にもほしいものが目白押しなのだが控えることにする。
 でもこういう時に限ってヤッカイなものをしげが見つけてくれるんだわ(^_^;)。
 『モンティ・パイソン/プライベート・ポリスマン』のライブDVDボックスが、店頭売りであと残部三箱と広告。これまでのDVDも全て買ってる以上、これだけ買い逃すわけにはいかない。しげももちろん欲しがるんだけれど、さすがにこんなン万円するモノを更にもう一つ買ってる余裕はない。
 「来月売れ残ってたら買おう」としげを説得してとりあえず諦めさせる。
 これで来月までに売りきれてたら、しげの怒りの鉄拳が私の顔面に降り注ぐことは必至なので、この文章読んでる人でLIMBの近くに住んでる人、くれぐれもボックスを買い占めるような意地悪なマネはしないよーに。
 お願いですから(T∇T)。

 地下鉄で比恵まで戻って、「五風」で夕食。
 ここもすっかりしげのお気に入りである。居酒屋の類に入ることを「飯場の酒臭いおっちゃんがいるからイヤ」とか言って嫌うくせに(昭和30年代かい)、ちょっと小洒落たレストラン風な店になってたら平気で入れるというのは、なんだか気取ってるみたいでそっちのほうがイヤらしいと思うがどうか。
 焼肉も刺身も天麩羅も、庶民の料理は全部頼めるのだから、食い意地の張ったしげには基本的に屋台とか居酒屋が一番似合ってるんだがな。
 いや、私もそうだけど(^_^;)。
 博多の屋台が名物みたいになって、結構ボルようになってから、自然、私の足も屋台から遠のいちゃったのだけれど、基本的に私の感覚での外食ってのは、子供のころから屋台に居酒屋、定食屋なんである。昭和40年代、レストランはデパートにしかなかったしなあ。
 寿司でも焼きトリでも、目の前で板前さんや職人さんが注文を受けて料理を作ってくれるのがいいのだ。ところがしげは私と真逆で、その「顔突き合わす」のがイヤで居酒屋に行きたがらない。そりゃ、私だって子供のころは人見知りしていて、板前さんと話なんかできなかった。けれど両親が板前さんと喋ってる雰囲気は嫌いじゃなかった。
 しげの場合、「だぁーってぇ、お店の人に見られて食べたくないしぃー、話しかけられてもウザいしィー」なんてクソナマイキなこと抜かすコムスメと違って、単純な対人恐怖なんだろうけれど、それにしてもそこまで毛嫌いせんでもいいんじゃないかと言いたくなる。
 暗い照明の下、ボックスの中で周囲を気にせずに食べられる環境の方が好みって……威張って主張できることじゃないと思うんだけど、そういう感覚の方がイケてないんだろうな。
 やはり育った環境が違うのかなあ、とちょっと淋しく思いながらサザエの壷焼きをつつくのであった。美味しいけれど、これも呼子の磯で出店のオバチャンに焼いてもらって食った時ほどに美味くはない。

 帰り、『快傑ズバット大全』と『クレヨンしんちゃん映画大全』を買い忘れていたことを思い出したので、積文館に寄るも見つからず。
 手ぶらで帰るのもなんなので、隣りのセガに寄る。
 UFOキャッチャーで100円イッパツ、「どこでもいっしょ」の「ドリンクサーバー」というのを当てる。
 当てたはいいが、この「ドリンクサーバー」というのが何をどうするものだかよく解らない(^_^;)。しげにも「トロは好きだけどどうするの、これ」と悪態を吐かれる。
 どうも電池で飲みモノを移すか混ぜるかするものらしいのだが、説明書が付いてない。誰か使用方法わかる人、教えてくれませんか……(T∇T)。


 DVD『サイボーグ009/バトルアライブ2』。
 オープニングが先日放映されたばかりの新作に差し換えられている以外には、たいしたリテイクは無し。まあ、0010とのくだりは作画がよかったから、その必要もないんだけれども。
 でもこれから先、あの第1話を流用したオープニングは「なかったもの」になるわけだね。エンディングはシルエットパターンのままだけど、これは2クール分これで通すのかな。
 けれどあとでいろいろリテイクするくらいなら、あと半年、放映時期を遅らせればよかったのに、と思っちゃうところだけれど、遅らせたら遅らせたで、結局、間に合わない回が出てくるんだよな、きっと。


 マンガ、あだち充『KATSU!』3巻(小学館/少年サンデーコミックス・410円)。
 ヒーローとヒロインの間に割りこんできそうな女の子の登場のせいで、人物設定もストーリー展開も『タッチ』のような『H2』のような、って印象がますます強くなってきたなあ。実際、野球がボクシングに変わったただけだし。
 けど、その「いつも同じ」に見える中の、微妙な差異を楽しむのがあだち充マンガの醍醐味だから(ホントかよ)、水戸黄門やゴジラや戦隊シリーズを楽しむのと同じってことなんだろうね。
 その「ほんのちょっとの差異」ってのが、本作では「ヒロインもボクシングが強い」ってことなんだけど、これが結局ヒーローに追従するような展開になっちゃつまんなくなるよなあ。でも軽いラブコメに見えてるけど、あだちマンガって、実は相当リアルなんで、「結局、女はボクサーになれない」って結末になりそうなんだよな。つーか、リアルでないあだちマンガは『虹色とうがらし』も『いつも美空』もなぜかウケない。予定調和が好きなんだろうなあ、あだちファンってのは。
 けど、そういうあだちマンガはもう腐るほど読んできているんである。
 「やっぱり女は男に勝てないのかな」なんて陳腐なセリフが出て来ないことを期待したいな。


 時雨沢恵一『アリソン』(メディアワークス/電撃文庫・640円)。
 『キノの旅』シリーズの作者の初の長編。
 寓話的な短編しか読んだことがなかったから、長編を書ける力量があるかどうかがこの作品で問われた形になってるけど、及第点ってとこじゃないかな。
 これも基本設定は『キノの旅』と同じく、構築された架空世界の設定は多分に「寓話」的である。
 一つの大陸、川で分けられた二つの国、いつ、なぜ始まったかも分らない、長い長い戦争。
 とりあえず「今」、二つの国は「休戦」状態にある。
 この設定にアメリカとソ連の「冷戦」を連想しても構わないけれど、別にそれと限定する必要もない。そういうものをひっくるめた「二つの国」の対立の図式を表してると考えて読んでおけば充分だろう。
 二つの国、東のロクシェと西のスー・ベー・イル。
 お互いの国は、部分的にではあるけれども、交流を持とうという動きがないわけではない。けれど、それを快く思わない人々もいて、決して全てが平和に向かっているわけでもない。
 ヴィルとアリソンは東の国、ロクシェの軍人である。
 と言っても年はまだ17。
 ある時、二人はホラ吹きで有名な老人から、「戦争を終わらせることができる宝」の話を聞く。
 そんな与太話、とまるで本気にしなかった二人だったけれど、この老人が西のスパイらしき怪しい男たちに誘拐されたことを知って、老人の話に小さいが確かな真実を感じはじめる。二人は西に潜入して老人を救出することを決意して、複葉機に乗りこみ、西を目指すが……。

 アリソンというヒロインの造型はさほど目新しいものではない。
 冒険心に富む、と言えば聞こえはいいが、要するに昔ながらの「お転婆」である。ナウシカにジムシーを混ぜた感じか(エライ譬えやな)。
 けれど、確かに猪突猛進的な行動を取って相棒のヴィルを振りまわしてはいるけれど、必ずしも向こう見ずな行動ばかり取っているわけではなく、飛行機乗りとしては実に優秀、という設定も付け加えられている。
 それを単にコトバで説明するだけでなく、空中戦の描写を通して描いているところに説得力がある。
 小説でこれだけ空中戦の描写に躍動感を持たすことができていれば、充分作家としての力量があると判断して差し支えないと思う。

 結末というか、「宝」の正体が本当に「戦争を終わらせることができるもの」であったかどうか、厳密に考えると疑問に思えなくもないが、これもまた一つの「寓話」なので、「理想的に過ぎる」と批判するのはやや的外れであろう。
 戦争の原因なんて、実はたいていがつまらぬ誤解と行き違いに過ぎないという意味を読み取ることができれば、この結末で充分なのではないだろうか。
 現実の戦争の当事者たちはその「誤解」すら認めようとはしない。
 だから戦争が尽きることはない。それが現実だ。
 けれど、「寓話」に現実を求めることは野暮というものだろう。
 『キノの旅』の短編の中にはハッピーエンドのものもあればそうでないもの、どっちだか分らないものといろいろ取り揃えてあったが、初の長編のラストにハッピーエンドと言えるものを用意したことは悪くない判断だったと思う。
 オチについては書かないけれど、「こううまくは行かないよな」と思いつつも「もしかしたらこんなふうにいつかは平和に」という希望が感じられる程度の説得力はある。
 決して全てが順風満帆に行くわけではない。
 やはり、「平和」には血も伴うのだ、という冷徹な事実だけは押さえているから。

2001年05月21日(月) アニメな『ヒカ碁』/『臨機応答・変問自在』(森博嗣)ほか



↑エンピツ投票ボタン
日記の表紙へ昨日の日記明日の日記

☆劇団メンバー日記リンク☆


藤原敬之(ふじわら・けいし)