無責任賛歌
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|藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2002年05月20日(月) もっとギャグを!/『蛇神さまといっしょ』2巻(桑田乃梨子)ほか

 『少年マガジン』のグラビア担当の編集者二人が大麻不法所持で捕まったんだと。ああ、マガジンに赤塚不二夫が健在だったら、もう、鬼の首でも取ったかのようにマンガの中にその編集者を登場させて、「大麻ギャグ」を一本上げただろうになあ。
 そういうギャグは不謹慎だと眉を顰める方もいらっしゃるだろうが、それができるってことも講談社に自浄作用があるってことだから、ここはあえて誰かに描かせるという裁量があったっていいんだけど、まあそんなことする余裕はないのだろうね。作家の方もカイシャをからかって首切られたりされちゃかなわんと保身をまず第一に考えるだろうし。
 そのことを考えると、かつての赤塚不二夫がいかに破天荒な存在だったかってことがわかろうってものなんである。
 『天才バカボン』、読んでた当初はあまり気がつかなかったけど、随分カイシャ自体から叩かれてたんだろうなあ。それでも連載が続いてたってのは、やはりどんなに叩かれても、赤塚不二夫が赤塚不二夫としてのステイタスを確立していたから、切るに切れなかったってことなんだろう。
 権威に対抗するにはマンガ家の方も何がしかの権威になるしかない。
 どんなに過激なギャグを飛ばそうと、本人が新人だったり、ウダツが上がらなかったりすると、権威の逆鱗に触れた途端に、切られるし干されてしまう。社会はやっぱり一律の見方しかしたがらないから、「ギャグ」だの「SF」だのといった、既成の概念を破壊するものは基本的に認めたくないのだ。
 結果的に、今はギャグマンガ家にも権威に対抗できるだけの「大家」がいなくなってしまっている。それが現在の「ギャグ不毛の時代」につながってるってことなのだろうが、それって結局、漫画業界の人たちが自分で自分の首を締める結果になっちゃうよ。それでいいのか?


 山本弘さんのHP「SF秘密基地」の『空想科学読本』関係・特別会議室で、あるトンデモさんについに怒りを発した山本さん、サイトへの出入り禁止を宣言した。
 このトンデモさん、BBSを読む限り、本当に日本語の文脈が読めない人で、ほかの方々の指摘を全く理解できていない。
 話題になっているのは、映画『2001年宇宙の旅』での「磁力靴」の表記が誤訳であり、そのことに『空想科学読本』の柳田理科雄さんが気付かないでいる、という山本さんの指摘についてなんだけれど、この方、「磁力靴は作ることが可能なのではないか?」と、的外れなレスを再三付けてきていたのだ。
 ……いやね、磁力靴を作ることが可能だろうが、そんなことを問題にしたって、山本さんへの批判にはならないんですけど……と、山本さん以外の方々も、みなさん揃ってその方に説明するのだが、「私は磁力靴が作れることを問題にしたいだけなんだ!」と聞く耳持たない。
 これだけでも充分トンデモさんなのだが、この方、『こんなにヘンだよ『空想科学読本』』の元ネタ本である柳田理科雄の『空想科学読本』も読んでおらず、それどころか論議の対象になっている『2001年宇宙の旅』すら見ていないのだ。御本人の弁によれば「引用文読むだけで充分」ということらしいけれど、もう根本的に「批評」の原則を知らないとしか言いようがない。
 「メールも送るな」「自分の本も読むな」という山本さんのコトバはいささかキツイように思えるかもしれないが、そりゃ、トンデモさんに関わったことがない人の感想であろう。相手の理解能力が著しく低い場合には、これくらいキツイコトバを使わなければこちらの意図は通じないのである(つーか、通じなかろうと、「絶縁」を宣言するならこれくらいのコトバを使用せざるを得ない)。
 もっとも、以前も書いたが、必然的にトンデモさんが寄ってくるようなサイトを開いたこと自体、これは山本さんが覚悟しておかなければならない事態であったとは思うのだ。世の中、話し合えばなんとかなる人間ばかりで構成されてはいない。作家のみなさんって、ご自身のネームバリューを過小評価しているところがあるから、トンデモさんまでウヨウヨ寄ってくるとは思ってないんだろうなあ。
 さて、第二、第三のトンデモさん、「秘密基地」に既に現れつつあるような気配もあり、山本さんが疲れ果ててサイトを閉じるようなことがないよう、祈るばかりである。


 仕事帰りに買い物。
 私はもうカネがないので、しげに全部任したら、コンニャクばかり買ってくる。しかも形だけは丸いのや薄いのや塊になってるやつとかバラエティ。でも所詮はコンニャク。
 「なんでコンニャクばっか買うんだよ」
 「好きだから」
 ……と言いつつ、買ってきたのにまるで食べようとしないのはどうしてだ。
 ダイエットするつもりで買ったけど、やっぱり肉食ったほうがいいと思いなおしたものなのか。謎だ。


 アニメ『名探偵コナン』、久しぶりに見てたら、例の外人の先生のお話。
 平次が英語を喋れないフリしたり、先生が日本語下手なフリしたりってのをお互いに見破るってくだりがあるけど、声優の演技がヘタなので、どちらもトリックとして成立していない(^_^;)。
 外人の先生が下手な日本語使ってるって言っても、日本人声優がワザトラしいカタコト英語使ってるだけじゃん。しかもそれを見破られた途端、いきなりスラスラと日本語喋り出すんだけど、母国語が英語圏の人間なら、どんなに流暢に喋れるといっても、必ずナマリは残るって。こういう場合は、声優にホントの外人ほ使うんでなきゃウソである。それができないんだったら、トリックそのものを変更するくらいはしてほしいもんだね。
 人気が続いてるからと言って、視聴者をナメて来てないか、アニメのスタッフ。


 池田香代子再話、C・ダグラス・ラミス対訳『世界がもし100人の村だったら』(マガジンハウス・880円)。
 今頃こんな本読んじゃってスミマセン(^_^;)。
 もちろん読み物として楽しむつもりは全くなくて、フォークロアがこのような形を持った経過に興味があったのである。
 提示されている数値に相当誤謬があるのではないか、という批判が結構あったようだが(伝達過程で起きたものもあったろうが、一応、出版に際して訂正できるものは訂正したとか)、フォークロアに正確さを求めても余り意味はないだろう。
 ただでさえ、ヒトは自分の望む解答をこそ真実と思いたがる。とりわけ、こういう統計上の「数値」というもの提示されると、いかにもそれが冷静かつ客観的な「事実」を表している、と思いこみがちだ。しかしそれはやはり大いなる錯覚であると明言せねばなるまい。
 「え? そんなこと言われたって、実際、世界中の男女の比率はこの通りなんじゃないの?」と反論される方はおられよう。……いえね、私は別にこの数値が間違ってると言いたいわけではないし、実際、殆ど正しくはあるんだろうと思いますよ。
 けどね、その数値を受け取る側には必ず「主観」があるってことも「事実」なんで、そのことを忘れちゃいけないって言いたいわけ。特にこの数値は、まるで「伝言ゲーム」のように、殆ど検索されないままに主観から主観へと伝えられていったものだってこと、そのことは充分注意しなきゃならない。

 この数値には、確実に伝達者たちの「願望」が込められている。
 例えば、本書の解説によれば(実際、本文よりこの解説の方が圧倒的に面白い)、「同性愛者の数の比較」なんてのは、元々の文章にはなく、伝達の過程で加えられていったものだという。そこには「世界にはこんなに多くの同性愛者がいるのですよ、そういう人たちに対して偏見を持たないで」という「伝達していく過程での誰か」の願いが透けて見える。つまり、「数の多さ=存在意義」という「意味」をデータの受け取り手に喚起させる作用が働いているんである。
 他にも、クリスチャンが案外少ないことや無神論者が結構多いことなど、数値化されて初めて認識させられた読者も多いのではないか。
 けれど再三繰り返すように、たとえその数値が事実であったとしても、そこから読み取られる「意味」には、本来受け取り手の主観に従って相当な振幅があってしかるべきなのに、実際には伝達者たちの「願望」によって、ある程度の「シバリ」が掛けられていることに注意しなければならないということなのである。
 多分、気がついている人は多いと思うが、これは「集団の総意」に基づく「マインドコントロール=洗脳」であるのだ。

 怖いことに、この「洗脳」には宗教における教祖のような「実態」が存在しない。
 ウワサやフォークロアの怖さは、伝達の過程で様々な情報が付与されて行くために、その根源的な責任を特定の誰かに求めることができない点にあるのだ。この本は決して「悪意」で作られたものではないけれども、あまりこの「数値」に躍らされない方が賢明ではないかと思う。
 ちょっと考えて頂ければ頷けると思うが、意図的に数値に「ウソ」を交えれば、「意味」も簡単に変容してしまうのだ。


 吉田浩『日本村100人の仲間たち 統計データで読み解く日本のホントの姿』(日本文芸社・893円)。
 というわけでもう一冊、明らかな便乗本も読んでみました(^o^)。
 フォークロアでない分、「洗脳度」はこちらの本の方がより高い。小泉人気のまっただ中の時期に書かれただけあって、既にデータ自体が古くなってるから、実際に洗脳される人は少なくなってるだろうけれど。
 2冊読んで結論が出せるのは「数値なんて流動的なもので、それに引きずられてこれが絶対、なんて思い込むのは危険」という当たり前過ぎることなのでありました。


 マンガ、桑田乃梨子『蛇神さまといっしょ』2巻(完結/白泉社/花とゆめCOMICS・410円)。
 うーん、また二巻で終わっちゃったか。すごく好きなマンガ家さんなのに。
 相変わらず桑田さんのマンガは「乗り越えることのできない恋」がテーマで、あまり長いこと続けると悲惨になるばかりだから、適当なところでオチつけるしかないってのはわかるんだけど、それにしても短い。もう少し間にいろんな事件を起こして長く読ませてくれないものかなあ。
 「神様(蛇だけど)と人間の恋」なんて、話を膨らまそうと思えばいくらでも膨らませられそうなもんだけどね。
 同時収録の『そういうことだから』は未完の連載。やっぱり、話を膨らませるのはヘタなのかな(^_^;)。

2001年05月20日(日) 念の入った話/DVD『NHK少年ドラマシリーズ なぞの転校生�機戮曚�



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藤原敬之(ふじわら・けいし)