無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2001年12月19日(水) 厳密な計算/『透明な季節』(梶龍雄)/『コータローまかりとおる!L』2巻(蛭田達也)ほか

 会議で帰りが遅れて、時間は午後7時。
 てっきりしげを駐車場で待たせているものと、慌てて外に駆け出したが、車は影も形もない。
 携帯で呼び出してみたら、しげはしっかり家で寝ていた。
 しげ本人は「そんなに寝てないよう」といつも言い張っているが、現実にこうやって寝過ごして迎えに来れないことが、ここんとこ慣習化している。
 夜道を自転車で通う私の身が心配で車の運転覚えたんじゃなかったのか。
 なかったんだな。ああ、愛が風化していくってこういうことなのね……って、しげの愛が濃かったことなんて一度もなかった気がするが(-_-;)。

 しかし、よくもこれだけ毎日毎日寝ていられるものである。
 具体的に見てみると、しげが仕事から帰ってくるのが、午前3時過ぎ、それから1、2時間ほどして寝るので、就寝は午前5時頃。
 当然、私が出勤する7時には熟睡していて起きない。たまに寝ないで起き続けていることがあるが、週に一日か二日、下手をしたら全くない週もあるのだ。
 じゃあ、帰りは迎えに来てくれるかと言うと、これも週に二、三日くらいのもの。4時に起きてる時もあれば、私が帰宅しても、仕事に出かける直前、午後9時くらいまで寝ている時もある。
 これを具体的に計算してみると、朝晩とも寝つづけて、最大14時間くらい寝ている日が週に一日か二日ある。
 続いて、朝送って夜迎えに来ない、あるいは逆に、朝寝ていて夜迎えに来る日が二、三日。これは10時間ほどの睡眠になる。
 そして頑張って朝も夜も迎えに来てくれる時は週に一日あるかないかだけれど、6、7時間ほどの睡眠の計算になる。けれど、帰宅したあと1時間ほど仮眠を取ることも多いから、やっぱり8時間くらいは寝ているのだ。
 つまり、どう少なく見積もっても、しげは一日平均9時間から10時間は寝ているのである。これを「寝過ぎ」と言わずしてなんと言おう。
 これでも「自分は寝てない」と言い張るのなら、ちゃんと睡眠時間を日記に付けておけよな。「暗号」ばかりじゃなくて。もう日記の内容、なにが書いてあるんだか全然判読できんぞ(ーー;)。
 結局、タクシー代を使っちゃうことになるので、おカネは出て行くばかりだ。
 愛はないないおカネは減る減る。
 ああ、風がココロを吹き過ぎる。
 (T^T)(^T )(T )( )( T)( T^)(T^T) ヒュルルル……。 

 それでも「ボナペティ」に寄って、しげの晩のおかずを買ってやる自分が健気である。
 ここは毎日少しずつメニューを買えてくれているのが嬉しいなあ。できればつぶれずに長く営業してほしいものだ。
 しげの好物のカツトジは今日はなかったので、豚の角煮・スパゲティ・茄子の肉詰め・肉じゃがと、できるだけしげがヨダレを垂らしそうなモノを選ぶ。

 買い物をしているとどうしても『ヒカルの碁』の時間には間に合わない。
 しげにもう一度携帯から連絡を入れる。
 「あ、7時27分から『ヒカ碁』録画してくれる?」
 「ええ〜? そんなんワカラン」
 「テープは新しいの使っていいから。ケーブルで10チャンネルに仕掛けて」
 「……失敗しても怒らん?」
 「怒らん怒らん」
 しげは寝起きだし、脳ミソ足りんなしげのことだから、ちゃんと記憶しているかどうか気になったが、これはもう、わが妻を信頼するしかない。

 で、信頼ってやつは必ず裏切られるのだ(-_-;)。
 帰宅してみると、しげ、テレビを点けていない。
 悪い予感がして、「ちゃんと7時27分から録った?」と聞いたら、「え? 半からじゃないの?!」
 ……今まで、いつも早めに始まってたのも忘れて、こちらの言ったことも聞き漏らして、録れてるかどうかの確認もしなくて、結局本編の初め数10秒が切れた状態で録画していたのだ。
 ああ、なんてお約束なやつ。
 「怒らない」と約束したし、こんなことはしょっちゅうなので、今更怒る気にもならないが、こう連続して失敗を繰り返せるというのもちょっとあるこっちゃないぞ。
 でもまあ、これで「『ヒカルの碁』のDVDを買うぞ」と言っても、しげは断れまい。転んでもタダでは起きんぞ。くくくくく……(T-T)。


 アニメ『ヒカルの碁』第十一局「最も卑劣な行為」。
 ダケさん、本格的に三谷を攻めるの巻。
 作画も安定していて、まあ、悪い出来ではない。
 よく見ると、ヒカルの学生服の影の付け方が最初のころよりも原作に近くなっている。さて、こういうところも原作ファンがクレームつけて変えさせたのかな。でも、中学生編になって間がないから、自然とスタッフの中に「原作に忠実に」という思いが広がっていったのかもしれない。
 大胆な演出を望むか、原作への忠実さを望むかは一概には言えない問題なんで、せいぜい「慣れない表現のし方で、作画が乱れなきゃいいがな」くらいしか言えないなあ。
 梅沢由香里さんの「GOGO囲碁」のコーナー、ごく初歩的な石取り問題らしいのだが、既に全然解らない。お袋にもっと囲碁も将棋も習っとくんだったなあ。母親が死んだ時に一番心残りだったのは、実はそのことだと言ったら、バチアタリなやつと思われるかもしれないが、事実だからしかたがない(^_^;)。


 マンガ、蛭田達也『コータローまかりとおる!L』2巻(講談社・410円)。
 敵のアメリカ忍者、名前がみんな実在、ないしはマンガの忍者の名前をもじってるんだなあ。
 トビー・ケイトーは「飛び加藤(加藤段蔵)」だな。小島剛夕の『半蔵の門』では、家康に自分を売りこんで、自在に涙を流す技を見せていたが、史実の加藤は武田信玄配下になろうとして失敗、殺されたらしい。忍者ファンには人気の高いキャラを敵ボス(中ボス?)に持ってくるあたり、蛭田さん、なかなかわかってらっしゃる。
 オーザ・ルイってのは「大猿」のことたろうな。言わずと知れた白土三平の『サスケ』の父ちゃんだ。えらくあっさりやられちゃったが、「分身」はいないのだろうか(←『サスケ』読んでないとわかんないネタ)。
 ちょっとわかんないのがくノ一のシーノ・タッカー。
 もしかして、これ、マンガ家の「椎名高志」のモジリか? ちょうどこないだまで「忍者マンガ(『MISTERジパング』)」描いてたし。


 梶龍雄『透明な季節』(江戸川乱歩賞全集11/講談社文庫・1250円)。
 最近、ミステリというか推理小説は、50歳……せめて40を過ぎた人間が書かないとまともなものは書けないんじゃないかという気がしている。
 紋切り型の「人間が描けていない」という評価はしたくないから表現を変えるけれど、どの小説を読んでも「行動が不自然で説得力に欠ける」人物がやたら多いのだ。
 トリックに拘るあまり、そんな結末があるかい、と本を投げ出したくなることが多々ある。
 しかし、じゃあ、老練な作家によって書かれたミステリが面白いかというと、今度はミステリとしての発想が陳腐で、読後感は「それで何が面白いの?」とこれまた作者に問いかけたくなる。
 江戸川乱歩賞を取った作品であってもそれは同じで、本作はどうやら後者に属するもののようだ。
 なにしろ「人間が描けている」ために、出てくる人物に聡明なヤツが一人もいない(^_^;)。しかも「戦時下に起こった事件」ということで、警察もあまり捜査に積極的ではない。
 だからこの事件が「迷宮入り」になったのは(なっちゃうのだよ!)、「時代」のせいなんであって、つまりはこの事件の真犯人は「戦争そのもの」とも言えるのだ。
 ある意味、そのこと自体、非常に特異なトリックと言えるかもしれないが、いささか卑怯ではある。だって、事件そのものは単純というか謎らしい謎もなく、多分、「現代であれば」迷宮入りになるような事件ではないのだもの。

 戦時下の旧制中学校で、軍国主義の権化のような配属将校・諸田、通称「ポケゴリ」が射殺される。
 主人公の少年、芦川高志(作者自身をモデルにしていると思しい)は、犯行時刻、現場近くで、「スパイ」の疑いのある教師・北上、通称「アオセビ」を目撃するが、彼が自分の憧れの女性、薫(ポケゴリの妻)の隠れた恋人であることを知ると、複雑な心情にとらわれはするものの、その事実を証言せずに沈黙を守る。
 ポケゴリの死は戦時下においては「不祥事」と見なされ、やがて捜査も打ち切りとなる。しかし、未だに事件に疑問を抱く刑事・時川が高志の身辺に近づいてくる。アオセビも謎の行動を取り始め、高志の疑惑も次第に深まっていく……。

 設定は多分に魅力的だ。
 戦争が次第に悲惨の度合いを増してきて、学生たちの日常もどんどんときな臭くなっていく描写、しかしその中にあって、年上の未亡人、薫に寄せる少年・高志の思いが行き場を失い、少しずつ壊れていく様は読んでいてやはり切ない。
 だからこそ、事件の真相が「犯人の遺書」だけで語られる結末はあまりに安易だし、拍子抜けだ。もう一つくらいどんでん返しを見せてくれないと、ミステリを読みなれた読者は納得してくれないのではないか……と思っていたら、佐野洋以下、受賞の選評もみんな「推理小説的骨格の弱さ」を指摘している。
 要するに、他の作品が「カス」なんで受賞したってことなんだね。
 で、他にはどんな作品が予選を通過したのかとリストを見てみたら……。
 斎藤澪『この子の七つのお祝いに』
 岡嶋二人『くたばれ巨像』
 井沢元彦『大沢家の崩壊』
 各氏の名が(^_^;)。
 斎藤さんの横溝正史賞作品、乱歩賞落選作だったんだなあ。この人もこの一作で消えたし、岡嶋さんは二人に分裂するし、井沢さんは言霊使いになるし(^^)、やっぱり受賞する人と落選繰り返す人とじゃ、資質に差があるのかもね。

2000年12月19日(火) 多分、ココロが病んでいるのです/『名探偵コナン』30巻(青山剛昌)



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