無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2001年05月29日(火) ヒステリー・ヒストリー/『オサムとタエ 早春残光編』(村野守美)ほか

 朝の体重、昨日と変わらず85.2キロ。
 仕事中、フラフラして立ってられなくなるが、脱水症状だろうかと思い、お茶だの水だのをがぶがぶ飲む。
 それでもどうにもカラダが持たなくなって、1時間だけ早引け。
 これがまず間違いのモト。

 帰宅するなり、しげが部屋の奥から声をかけてくる。
 でも玄関先まで出てくるわけじゃなし、遠くで何と言ってたかよく聞こえないし、こちらは気分が悪いわけだし、まだ靴も脱いでなくて、と言った感じだったので返事もできなかった。
 それでも何か声をかけてくるようだつたので、「聞こえないよ」と返事をしたところ、突然、「どうしたって言ってんだよ!」と金切り声を上げられる。

 ああ、またヒステリーだ。
 何度かこの日記にも書いているが、しげは時々前後の脈絡なく情緒不安定に陥り、ヒステリーを起こすことがあるのである。
 冷静な時には冷静で、ヒステリー起こした時の自分のことを思い返して反省もするのだが、まあ、狂ってるときは狂っちゃってるので狂わないようにしろと言ったってそりゃ、無茶な話なのであろう。止めようったって止まらない。
 日頃からココロのコントロールをしてくれてると助かるんだけどなあ、そうもいかないのかなあ。しかもたいてい私が疲れてるときとか具合が悪い時に限ってヒス起こしてくれるものだから、私の疲労は倍化するのだ。

 「なに怒鳴ってんだよ、なんかイヤなことでもあったのか」
 「別に何もねーよ、勝手に決めつけんなよ」
 「じゃあ何を怒る必要があるんだよ」
 「怒ってなんかいねーよ! 怒ってんのはそっちだろ!」
 「俺がいつ怒ったよ! お前が怒るから俺も怒るんだろ!」
 「あ〜そうだよ、正しいのはいつもアンタで悪いのはオレなんだよ」
 「なにヒネクレてんだよ」
 「ヒネクレてなんかいねーよ!」
 「ヒネクレてるじゃねーか。自分で自分がどんな態度取ってるかもわかんねーのかよ」
 「どーせオレがバカだからダメなんだよ。オレがバカでどうしようもないから嫌われるんだよ」
 「いつ誰がお前を嫌ったよ。勝手に決めつけてるのはお前じゃないか、そんな態度とられちゃメイワクだよ」
 「ホラ、見てん、メイワクって、オレのこと嫌ってるじゃないか」
 「嫌ってねーよ!」
 「ホントはオレに出て行って欲しいんだろ? オレが出て行かないんで仕方なく諦めてるんだろ! どうせオレは弱虫だよ。オナサケでアンタに飼ってもらってるだけだよ。アンタの言うとおりハイハイ言ってりゃいいんだよ」
 「誰もそんなこと言ってねーだろ!」

 ああ、こうやって書いてみても不毛だ。もちろん、ケンカの後半、しげはわあわあ泣きじゃくっている。
 いや、しげのやつ、何となく泣きそうな顔してたから、つい私が「びろーん」って言って、からかったら、その瞬間、緊張の糸が切れたせいか、大声で泣き出しちゃって。
 普通、口ゲンカの最中にギャグ飛ばすかね。ああ、骨の髄までギャグ人間なのが恨めしい。

 それにしても、随分具体的かつ詳しく覚えてるもんだなあ、普通、ケンカって言えばお互い感情的になってるから、内容なんて忘れちゃうもんじゃないか、と思われる方もあろうが、要するに毎回、口ゲンカのたびに同じ会話を繰り返しているから、もう暗記しちゃってるのだ(-_-;)。

 で、これから先はあまり書きたくないのだが、結局、しげをなだめるために、私は、私がいかにしげを愛しているかを具体的に細かく詳しく告白させられるのである。

 絶対たくらんでヒス起こしてやがるぞ、クソしげめ。

 あ、そこの奇特な読者の方、ノロケか、結局って、怒んないでね(^_^;)。
 すみません。犬も食わない話でした。


 間が悪い時は間が悪いもので、ケンカの真っ最中にいきなり玄関のチャイムが鳴る。
 出て見ると、赤ちゃんを抱いた若夫婦がご挨拶。ウチの隣にお引越ししてきたのだ。
 「すみません、子供がいますのでうるさいと思いますが」
 「いえいえ、こちらも夫婦ゲンカの真っ最中でうるさいと思いますが」
 そんなこと自分からバラしてどうする(ーー;)。
 でも、このマンションに住んで足かけ10年になるが、ウチの隣に引っ越してきた家族がこれで三組目になる。
 なにか私たちに問題でもあるのだろうか。
 タオルを頂いたので何かお返しを考えなきゃなあ。


 結局、早く帰宅した意味はなく、充分に休養が取れないまま、それでも夜の散歩は忘れまいと、すっかり腹を減らしたしげと連れだって、食事に向かう。
 時間はもう10時を回っている。ってことは、6時間もケンカしとったんかい。ああ、時間のムダ。
 だからどうせ仲直りするんだったら、最初からヒス起こすなよう(T_T)。
 余計な気苦労させるな……って、だからそこで泣くなってば、バカしげ。

 本屋を回ってロイヤルホストへ。
 買ってきたばかりのマンガを読む。


 佐藤竜雄・滝沢ひろゆき『学園戦記ムリョウ』2巻。
 滝沢さん、エッチマンガから出て来た人のようだが、こんな丸っこい可愛らしい絵柄でエロ描かれていたら、さぞやそそることであろう……って、今回のマンガ、健全といえばこれくらいテレビアニメの王道を行こうとしているマンガもないくらいであるのだが。
 どうやら遥か彼方の宇宙で行われているらしい戦争に地球も巻きこまれて行きそうな気配なのだが、それを選ばれし若者たちが救う、という、ありふれているが演出次第でどのようにも面白く出来そうな題材。でももう2巻目だというのに脇キャラ増やすばかりでストーリーそのものはまだ少しも進んでいないので(『ナデシコ』もそうだったなあ)、今のところは隔靴掻痒。
 でも那由ちゃんの桃太郎と河童のコスプレはかわいいのであった(^^)。


 村野守美(「もりび」って読むんだよ。男だからね、念のため)『草笛シリーズ オサムとタエ 早春残光編』、待望の復刊である。でもおそらく数十巻はあろうかという連作シリーズを一作だけの傑作選とはもったいない。
 双葉社、ぜひ続きも出してえな。

 たしか石子順か誰かの日本漫画史では「アニメの手法を漫画に持ちこんだ」という評価をされていたように記憶している。つまり、背景は細密な美術なのに、キャラクターはマンガチックってことなんだろうけど、その批評、間違いじゃないけど、水木しげるやつげ義春がとうの昔にやってる手法でもある。
 で、今回久しぶりに読み返して気付いたけど、実際つげ義春に相当インスパイアされてるのだわ。
 つまり『紅い花』のシンデンのマサジとキクチサヨコの関係にだな。
 オサムとタエ、背丈が2倍以上も違うから、小学1年と高校生くらい違うと思ってたのに、5年と6年だったのだな。いくらそのころの男と女の成長に差があるからと言って、これは結構凄いデフォルメだ。
 だからこそいやらしくなる一歩手前で抑制が効いてはいるけどね。

 田舎の、小さな港町、小学生が全部で10人くらいしかいない町の、性に目覚める寸前の子供たちが見たオトナたちの人間模様。オサムとタエは主人公というより狂言回しの役割だ。
 でもシリーズ中の『花梨の実』だけはまさしく村野守美版『紅い花』で、これだけはオサムとタエが完全な主役。
 少女の性が少年には解らない。解った時には多分オサムとタエはもう思い出の中だけでしか心を交わすことが出来なくなる。思い出が懐かしく、甘酸っぱく、そして寂しいのは幼馴染が性の目覚めまでも共有してしまうからなのかも知れない。
 いや、なんだか照れくさいけど好きだったんだよなあ、このシリーズ。

 手塚門下ってことを考えると、オサムのネーミングもその辺からかな、という気がするが、手塚さんの奥さんは悦子さんでタエではなかったのであった。

 今日こそは日記をまともに更新しようと思ったのに、しげのせいでなんも書けなかったのであった。これも一週間後に記憶を辿りつつ書いたものだ。
 ウチに帰りつくなり、疲れ果てて寝る。
 ああ、ゆっくり体を休めたいよう。



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