無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2000年11月13日(月) 泣いてるようだが怒っているのです/『藤子・F・不二雄SF短編PERFECT版』4巻

 休んでいた同僚が復帰。結局仕事の代理は一日だけ。公式には「ご病気」ということになっていたので、本人に挨拶してみたが、案の定、言葉を濁される。
 「……いろいろあったんです。……あとでお話しします……」
 確かに元気がない。十中八九、失踪してたんじゃないかと思うが、本人が「いつか話す」と言っている以上、それ以上は聞けない。その「いつ」がいつ来るかは分らんが。
 それにしても同僚が戻ってきたのに、この職場では何の説明もない。それ以前に周囲が本人をねぎらうような気配すらないのだ。まるでそれまでの欠勤が「なかったこと」のようにみんな振舞っている。
 SFならこういう状況、よくあるんだがな(^_^;)。でもここはミステリーゾーンでもアンバランスゾーンでもないのだ。この事態が現実なら、それは不人情を通り越して「異常」なのではないか?
 でもSFだとそう考える当人が実は「既知外」ってことになっちゃうんだよなあ(+_+)。私の「入院」も近いか?

 藤子・F・不二雄『SF短編PERFECT版』第4巻読む。今回初収録の自伝『スタジオ・ボロ物語』は、20年以上昔、別冊少年ジャンプがマンガ家に自伝を描かせたシリーズの一本。これまで雑誌に再録されたことはあっても、単行本にはずっと未収録。久しぶりに読み返すと、特に悲しいシーンもないのに涙がこぼれる。
 このシリーズ、今考えると超豪華なメンバーが執筆していた。手塚治虫、石森章太郎、赤塚不二夫、藤子不二雄、ちばてつや、ちばあきお……。
 一時期、私がマンガ家になりたいと思い、背景の斜線やカケアミの練習をしまくったのは、ちばあきおの自伝を読んだからだった。……みんなどうしてこんなに早く逝ってしまったのか(いや、生きてる人もいるって)。

 丁度今日はCSで『キカイダー』の第5話。自分の醜い姿をミツ子に見られたくないジローが、イエロージャガーと戦いながら叫ぶ。
 「僕は醜い……けれど、会いたい人がいるんだ!」
 原作版『キカイダー』の結末を知っているだけに、このセリフは余りにも悲しい。ヒトは、生きる意味を否定されたところから生きることを始めなければならないという事実を、石森章太郎はよく知っていたのだ。
 『エヴァ』や『もののけ』がそれ以前の段階でウダウダしていたことを考えると、若いアニメファンに手塚・石森・藤子作品をもっと読めよと言いたくなる。
 ……オヤジだなあ。



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