委員長の日記
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2004年07月10日(土) 2004年度通常総会を迎えるに当たって

●今、改めて考えて見ましょう、NPO法人の意味


<はじめに>
子どもネットワーク可部が、広島可部おやこ劇場から名称変更をし、NPO法人格を取得して、3回目の総会を迎えようとしています。
それは、今から16年前、「可部の子ども達に生の舞台を届けたい!」という思いを胸に、先輩達が立ち上げた“可部おやこ劇場”で培ってきた人と人とのつながりは大切に感じながらも、会費を払っている会員だけが鑑賞事業や自主活動に参加できるという、会員制の枠を取り払い、地域のすべての子ども達をクライアント(活動によって利益を受ける人)として、よりたくさんの人たちに、生の舞台鑑賞や、遊び体験の機会を提供していきたい…という思いを具体的な形にするために、NPO法人格を取得しよう!と、数年にわたる話し合いを重ねた結果みんなで出した結論でした。
ミッション(会としての指名あるいは目的)についても繰り返し話し合いを重ねていきました。
「内向きの会(会員の利益を優先する会)から外向きの会(会員、会員外の区別なくすべての子ども達の利益を優先する会)へ!!」というのが、私達の合言葉でした。

<会費について>
では、具体的に何が違うかというと、以前は、4歳以上の子どもも、大人と同じように毎月一定の額の会費(最終的には、月1200円)を支払うことによって、年に数回の鑑賞事業への参加を保障される、というように、会費は活動によって、それを払っている会員に還元されるべきものであり、地域公演以外の鑑賞活動については、会員以外の参加は認められていませんでした。
しかし、NPO法人格を持つということは、会員は、その所属するNPO法人の掲げるミッション(目的・指名)に賛同した人がその活動を支えるために会費を支払い、その活動によって利益をうけるのは、活動に参加する全ての人たち…ということになります。

その違いを明確にするために、子どもネットワーク可部では、会員が納入する年会費は全て、管理運営費(事務所を維持するための家賃・光熱費・雑費など)に充当し、様々な活動(鑑賞事業・遊び体験・講演会など)に参加する際は、会員も会員外も同じように参加費を支払い、それを事業運営費に充当するというシステムに変えました。

また、その趣旨を踏まえて、この時点で、会の活動によって主に利益を供与する(クライアント)子ども達からは、会費を徴収せず、また、会員・会員外の区別をつけないという方向性が決まりました。

 繰り返し述べますが、会員の皆さんが納めてくださる会費は、皆さんに還元されるものではなく、
会の運営を維持し、その結果、地域のすべての子ども達に活動を通じて還元されるという性質のものなのです。
 
 しかし、その趣旨は別として、やはり、会員特権が全くないというのでは、会員拡大に向けて説得力がない…という意見も多く、活動に主体的に参加する(主に、子育てに現実的に関っている人たち)立場にある、正会員や活動会員の大人に関しては、参加費のところで、多少の特典をつける(差額を設ける)ことになりました。
 けれども、支援会員や賛助会員の皆さんは、純粋に私達の活動を応援してくださっていると受け止め、その特典も提供されていません。
 

<NPO法人としての責任・会員としての責任とは>
 では、以前の任意団体のときと比較して、NPO法人となった今、会の社会的責任や、会員一人一人の責任は、どのように変わっていくのでしょうか?
 NPO法人は、そのミッションを定款に謳い、年度ごとに所轄館長に事業計画を提出し、またその報告をきちんと提出する義務があります。もちろん決算等もきちんと報告し、その書類に不備があったり、事業の遂行や、会計に不明な点があれば、法人格の認証を取り消されます。
 NPO法人法制定後、多くの団体が法人格を取得しましたが、その後このような報告義務を怠ったり、ミッションの遂行に不備があるとみなされ認証を取り消されている団体もたくさんあります。

 議決権を持つ正会員は、事業を主体的に行う会員として、年度ごとの事業報告および、新しい年度の事業計画や予算案について検討し、総会で決定するという責任があります。

また、正会員から選ばれた理事(委員)には、会員を代表して、会を運営しその事業を遂行する責任があります。

以上のように、NPO法人で言う責任とは、社会的な責任ということになります。
 私達の会は、その会員のほとんどが、子育て中の主婦で形成されています。日常生活の中で、社会的な責任という言葉を持ち出されると、どうしても気持ちが引いてしまうかもしれません。
 けれども、子ども達の豊かな成長を目指していくということは、個々の家庭の中で我が子だけを守っていれば、それでその目的が達成されるということではないのです。
 
 そうでなければ、この会が地域の中に存在する意味も持たなくなるということになります。
 また、議決権がないから…ということで、活動会員には責任がないということではないと思います。
しかし、このように責任を持って会を運営していくためには、会計処理だけでなく、運営面でも専門的な知識も必要になってきます。
 また、事務所を責任持って開局するためには、そのための人材も確保する必要があります。
本来、ほとんどのNPO法人では、このような業務を会として責任を持って遂行するために、専従の事務局を雇用し、事務所の開局や、事務的な仕事や会計の処理を行っています。
けれども、現在、子どもネットワーク可部では、会員の負担を考え、年会費の額を、事務所の管理運営に必要な最低限の額に設定しているため、このような人材を雇用する経済的なゆとりはなく、
全ての業務を、数名のボランティアスタッフによって行っています。
 そのことは、本来対等な立場であるはずの会員相互の関係の中で、運営の負担が、一部の人たちに偏るという問題を引き起こしています。
 
 毎年度の決算報告を見ても分かるように、事務局に対する人件費は計上されていません。
 これは、子どもネットワーク可部が、NPO法人としては、まだまだ未熟な会であるということを表していると思います。
 今後、子どもネットワーク可部がNPO法人としてより成長していくためには、このような人材を確保するための基盤整備が重要な課題となって行くと考えられます。

 では、どうすればその基盤整備が可能になっていくのでしょうか?
 
 このことは、今後、子どもネットワーク可部がNPO法人として、地域の中でどのような責任を担っていくのかという問題とともに、会員一人一人の皆さんが、しっかり考えて行かなければならない問題だと思います。
 


委員長