終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2008年07月13日(日)

竜宮城へ

竜宮城は、どこにあるのだろう?
もっともありそうなこととして、海の底だろうか?
では山頂とは、たぶん、最もありそうもない場所だろう。



黎明に山へ分け入り、青白い道を踏み、
山腹の森を抜けて、私はどんどん登って行った。
途中で夜が明け、真横から差し込む光が木々に灯りを灯した。

私はなおも登って行った。
森を抜け、急な坂道を上りに上り。
するとふいに視界は開け、そこに青い、青い池塘。



幻のように青く、どこまでも青く。
彷徨い歩けば、この道はどこに続くのか。空にか、空の内にか。



脚元には珊瑚さながらきらめく花々。
それとも落ちた星か、生きて息づく宝石か。ではここはどこだ。



ここはどこだ。あらゆる幻想に増して美しいのはこの幻。
生きてうつろう四季の果実、四季の花。永遠に繰り返す朝と夜。
永遠に、そうだわたしが生まれるよりずっと前から、花々は咲いていた。
咲いて、散っていった。なんという悲しさだろう。
歌えよムーサイ、私は何も変えられない。




魚たちは群れなしてあの山並みのむこうにいってしまったに違いない。
ここは竜宮城、天の高みに乙姫の、長い裳裾が広がっている。


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