終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2008年06月22日(日)

ダケカンバと魔女の歌

早暁3時半、目が覚めるのが早いのは旅の空の常だ。
レンタカーの赤いフィットを駆って岩尾別温泉へ。



なんとも野趣に富む温泉ではないか。
脱衣所も囲いもなんもない。
それでも入りましたよ。いい湯でしたよ。それがなにか?
見上げれば知床連山。これぞいい湯じゃねェか、熊八ッつぁん。



さて、体温を上げて体を起こしたところで羅臼岳登山口へ。
山道を登る。照葉樹と針葉樹の混じった山道は思わぬほど静かだ。
なんという静けさだろう。風もない。鳥がときおり歌うばかり。
朝の光は斜めに射して木々の上にまだらの模様を作る。



途中、岩のでっぱりがあったので登る。
すると眺望は360度に開けてなんともはや無限。



向こうの青はオホーツク海。
手前は俺の足でござんす。踏ん張ってたのよ。
ちゃんとしたトレッキングシューズでなかったのは内緒です。

照葉樹林帯の上に広がるのはダケカンバの白い幹。
ダケカンバのねじれた樹形はさながら歌う魔女の群れ。
新緑を枝先に飾っていればこそ、どことなくユーモラスだ。

午前6時を過ぎると、風が吹き始めた。
それ以上先に行くと雪渓があるのは聞いていたので引き返すことにする。
わたしはそこで花一輪摘みはしなかったが、
この場所はじつに印象強く、満月の夜には夢に見る。
ああ今夜あたり月に照らされているだろうなと、
ふと思い出される場所があるのだ。そういう種類の場所なのだ。
一度おとなえば、永遠に魂の一部がそこに置かれてあるような。


あしたは知床の湖と海。
たぶんほんとにそれとももしかして?



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