- 2008年02月10日(日) ずいぶんむかしのことだが ひとを愛したことがある。 いやまったく、ずいぶんと昔のことだ。 30歳を超えてから思うからまったく、ほんとうに。 以来、たぶんひとを愛したことがない、本当にセクシャルな意味では。 その唇だとか頬だとか、胸だとか肩だとか、ねぶりたいように思ってた。 触れた記憶が脳裏を去らず、その感覚がまるきり突然蘇っては なんというか私を困らせた。焦がれるというのは実際そういうことだ。 水を飲みたいようにあなたに触れたい。眠りが必ず来るようにそれは来る。 とはいえそいつもまったく遠く去り、なければないでどうにもなる。 あんな感情のぼったくりはもうゴメンだ。 若さはふさわしい愛をする。30を過ぎれば別のものがあるだろう。 別に必要とも思わないから追い求めもしないが、 そうしたものが来れば、そのときは相手をするつもりだ。 それでも地球を相手にして、ふるいつきたいような欲望を覚えるあいだは、 枯れてもいないのだろう。この風景に、わたしは確かに欲情した。 下世話に言えば、膝の間に引き入れたい、という感情に近いものだった。 -
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