終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2007年12月29日(土)

深い林の中から銃声が響いた
そこでは、空をゆく鳥も見えるはずはないのに


 死んだ犬が見つかったのは、雪解けの季節だった。獣に食い散らかされた骨が下草の間に散らばり、ただ色あせ汚れた首輪でだけそれと知れた。
 死んだ犬を見つけたのは2人の年老いた猟師で、かれらは拾った首輪から犬の飼い主が元締めの老人ではないかと疑い、そのもとへ運んできた。老人は首輪を受け取り、青ざめた頬にひっそりと寄せた。それはまさしくかれの犬のものであって、その犬は前年の秋から見えなくなっていたのだった。
「これはどこにあった」
 老人はしゃがれた声で囁いた。その軒下にはこの朝撃ったばかりの熊が数頭、積み重ねられていた。その舌はいちいち歯の間からべろりと垂れさがっていて、どの目も見開かれていた。
「俺はこの犬をずっと探しておった。子犬のうちからこの手で温めて育てた犬だ。どこでこの首輪を見つけた」


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