- 2007年12月03日(月) 「女は眠っている、彼女は目覚めない。 男は教会に入ってゆく、その足取りは重い。 永劫の罰はこの如くに行われ、しかして世界は巡りゆく」 十二世紀『無名文書』冒頭 とても辛い夢を見た。 犬が死んだ夢だ。わたしの犬が死んで冷たく硬くなった夢だ。 もう生き物ではないおまえの夢、どうしてこんな夢を見たのか。 わたしは何度か知った、悲しみは癒えることがない。 悲しみは消えることがない。悲しみは忘れられることがない。 私はただ、おまえの死を生きてゆけるだけなのだ。 ほかの多くの死を生きているように。 おまえ、わたしのおまえ。 おまえが死んで焼かれたあの朝から、もう何年も過ぎた。 それともきょうここにいる私こそ夢なのか。 私たちはまだあの露の多い秋草の野辺を歩いているのか。 私たちが願ったようにあの散歩には終わりがなく、 いまなお私たちはあそこにいるのか。あの散歩を続けているのか。 おまえ、わたしのおまえ。 わたしの黒い犬。失うとはこういうことか。 私の心のうちにおまえはちっとも死んでおらず、 しかもなお声の限り呼んでも応えはない。 -
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