終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2007年09月21日(金)

 古い木槿の株はひとの二倍ほども丈があった。青々と葉を茂らせ、その上に無数の純白の色したごく薄い花をつけている。公子は強い西日に半顔を焼かせながら、その梢を見上げていた。
「見よ、古人はこれを無窮花と呼んだ」
 公子は言った。その長い白衣は地を掃き、その左目はまぶしい光のただ中にあって見開かれ、豊かの眉も引き絞られた虹彩までも克明だった。
「ひとつの莟は朝に咲き、夕に枯れ落ちる。だが翌朝には新たな花が再び咲き、かくして枝間に花の尽きることがない」
 わたしは公子の傍らに膝をついて控えていた。暑熱にあぶられた背に汗が滲んで行った。公子は黙ってうすい花びらのその花に手を添えて見つめた。
「だがそれも夏の間だけのこと」
 公子は言葉を途切れさせ、ややあって続けた。
「季節が終われば


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