- 2007年07月12日(木) 古い埃だらけの人形を引っ張り出すように、かれを呼んでこよう。 ともかくわたしは語らねばならないのだ、かれには気の毒だが。 六弦琴は象牙の撥に弾かれて、六種の声に歌った。ひとつは紅玉、ひとの血のように赤く不透明な円形で、ひと跳ねするとあとはまっすぐに暗がりへと転がり落ちていく。またひとつは黄玉、そのあいかたは古酒の色した琥珀。これらはたなごころをめぐるようしばし余韻を残していった。それから澄んだ水晶、迷宮さながら幾重にも縞の入り組んだ赤瑪瑙、不壊の金剛石。これはいつまでも人の耳と心に残るものだった、とりわけ最後のそれは。 殷々と澄んで、高く、清く、空にというよりひとの心に響き渡る。そして長く響いている。アル・シムーンは愉悦のあまり声もなく笑った。 -
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