- 2007年02月18日(日) マエズロスは幸いを求めない。かれの赤毛は復讐の旗印だ。だがいったいなにゆえの復讐なのかはかれにすら定かでない。おそらく復讐とはそういうものなのだろうとマエズロスは思っている。 「もう起きたのか?」 居間の扉を開けると、フィンゴンがソファの方から視線だけよこして問いかけた。時計を見れば針は午前1時を指している。してみると2時間ほどは眠ったわけで、そうなるとこの従兄弟はろくでもなく1時間待っている。 「起こせばよかったろうが」 「うん? まあ、いいじゃねえか」 オープンダイニングでマグカップに水道水を注ぎ、そのまま煽る。ぬるい水が体の内側を伝っていく感触がセックスを連想させて眉を寄せた。窓の外には町の灯が無数に滲み、海との区切りで途切れている。マエズロスは夜景が好きでない。黙ってカーテンを引いた。 「髪をさ」 唐突に飛んできた言葉に、マエズロスはソファの上に座り直した従兄弟を見た。仕事帰りだろう、ワイシャツは皺が寄って、襟元だけを崩している。 「なんで伸ばさないんだ?」 マエズロスは答えない。そうした問いには答えるならいがない。だいたい誰にも迷惑をかけない行為なら、弁明を誰にする必要もないはずだ。 「ワインにするぞ」 問いかけて、答えを待たずに冷蔵庫を開ける。押し込んであった白はほどよく冷えていたから、遠慮なしに引き抜いた。そのまま栓を抜こうとして、ふと思いついて顔を上げた。 「フィンゴン」 「うん?」 マエズロスは笑った。フィンゴンは不審そうに眉を寄せる。 「毎日おまえが結ってくれるなら、伸ばしてもいい」 それともこれは、口説き文句にはならないだろうか? まあいい、言ってみたかったけだ。マエズロスはそう考えながら、グラスを2つ取り出した。 口説くマエズロス(笑) 堅物なキャラが、ふっと口にする口説き文句はくすぐったくていい。 ちなみに私はダイエット後にやった。 「なんで痩せたの?」 「あなたのためにきれいになりたかったの」 目を見て言うのがコツですたい。いや冗談なんだけど。 -
|
|