- 2006年10月30日(月) 永劫一夜 ソフォクレスのギリシア悲劇『オイディプス王』で、 オイディプスが盲目の予言者ティレシアスに言う。 「おまえが生まれついたのは永劫の夜だ」 確かに、ティレシアスの目に世界が明るむことはない。 かれは生まれ落ちて死に至るまで、ただひたすらに暗がりの夜を行く。 かれのゆくところすべてが夜になる。 日本神話では昼をおさめる天照大神に対し、夜を統べるのは月読命。 数えるにあたっては「昼を七日、夜を七夜」、 まさに夜は昼に異なる王国、異なる法が敷かれている。 ここにおいて、人間は日ごと夜ごとに国境を行き来する旅人となる。 なんらかの理由でパスポートをなくせば昼には帰ってこられない。 夜より夜を果てしなく渡りゆくよりほかない。 書きたいっぽいのは後者だ。 「朝への道」を探しながら、夜を行き来する誰かの物語を。 昼に憧れ、焦がれながら、けっして真昼に至ることのない誰かを。 これもひとつの物語の祖形だな。 -
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