- 2006年07月26日(水) (独白) 王は小振りの刃物を取り出して、僕に渡した。 それは要するに死すべしということだったから、僕は従った。 結局のところ、権力というのは言い訳にすぎない。 権力というのは、それは絶対的に見えたとしてもそうではないものだ。 逃げることもできるし、従わないこともできる。 もちろん代価は払わずにいられないかもしれないが、 そうすることはともかく可能なのだ。 だから、僕の服従には別の理由を探さざるをえない。 たとえば たとえばこんなのはどうだろう。 「僕はもともと死にたかった」。 それとも、「僕は王を愛している」。 どちらも違う。僕は僕の首から流れ出る血の暖かさを感じながら思う。 僕はただ、王を傷つけたかっただけなのだ。 「おまえは人殺しだ」と目の前で見せつけてやりたかっただけだ。 いま王は、ちがう王なんかでないきみはそこに立って、僕を見ている。 見開かれた目の中にあるのは恐怖と驚愕と、それから恍惚だ。 きみは権力を信じた。そうだ、僕がきみに従ったのだから。 きみは権力を信じることによって人殺しとなった。 いまきみはその力に半ばうっとりとし、 もう半ばとりかえしのつかない恐れに駆られている。 きみはこれからどうするのだろう。 僕にはもう関わりない。僕はもう行く。 きみが破滅するという確信をもって、僕は安らかに行く。 ゆがんだ愛情(笑) -
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