- 2006年03月19日(日) 私は基本的に、東京という町が嫌いだ。 ここにはなんだか、人間を小さくするものがある。 人間を去勢し矮小化し、また人間であることを邪魔するものがある。 だけどもし、東京に住みたいと思うとしたら、 それは多分、書物のあふれんばかりの豊かさのせいだろう。 読みたかったボルヘスの本がいっぱいある。 それに人類学や、ケルト関係も。幸せだ…。 東京の、「小さくする力」とは別に、ここは絵になる町だ。 それはその奇妙な力そのものに由来するのでもあり、 また、まったく別なもののせいでもある。なんといえばいいんだろう。 小さくする力、濃密に文字化された時空の記憶、強力な生と死。 だけど私は、奥日光の月もない夜の闇が好きだ。 朝の光や、木々の陰が好きだ。あの月影の、ひそやかな樹木のかたち。 あそこでなら、私は確かに人間でいることができる。 そこでなら、私は死体である自分が好きだ。 そうなんだ。東京では、犬ほども死ねない。それなんだよ。 死ねもしない場所では、生きれやしないんだ。 -
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