- 2006年03月10日(金) 「汝が美は軌道を巡る星々を統べる極北星ならん。 また海中の光、石の薔薇、流るる炎ならん。 永劫の神秘にして世界の歓喜、詩人の夢見る幻の尽くるなき源泉ならん。 娘よ、幼子よ。 余はここに予言し、誓言す。 汝ゆえに災いは来たり、汝ゆえに人々は愛に死なん。 眼差しにて射殺す娘よ、微笑にて戦い招く娘よ。 世界は汝のゆえに滅び、しかも悔ゆることなかるべし!」 ニザーム・アル・ナスラーニー『鳩の夢』より 『鳩の夢』は邦訳されているうちでもっとも美しい散文だ。 内容については短く述べるに留めよう。 生まれてすぐに、流浪のダルウィーシュによって至上の美を予言された 希代の美女マルジャーナが原因となって起きる戦争や略奪、 天上から地の底まで巻き込んだ一大叙事詩だ。 ホメロスの『イーリアス』を思わせるが、イスラームの常として 比類ない美女は神の比喩であり、美男ハスンも海蛇ジューナールも、 信仰をめぐる諸力の比喩である。ある見方では錬金術の謎本だともいう。 イスラームの秘中の秘といわれる書物でありながら、ペルシャ的な きわめて優美な語彙と二元論を思わせる含みも持つのが面白い。 とはいえ現れる表象は難解で、あまりにも奥深い。 作者についてはまったく何者ともわかっていない。 『ルバイヤート』で知られるオマル・ハイヤームの変名ともいわれる。 しかし、成立年代さえ謎に包まれているのが現状だ。 18世紀中ごろの不世出の研究者イザム・アリーはこう言っている。 「信仰の永遠性について、また宗教と神の概念の本質と源泉について この書物にはすべての謎が書き込まれている。 秘められた謎のすべてを解くことに生涯を費やし、 しかも報われなかった者は多い。私もまたその一人となるだろう」 イザム・アリーの墓はイスファハーンにある。この言葉が墓碑銘だ。 以上、全部ウソだから『鳩の夢』を探さないように。 まだかー!後輩―――――!!!! 今日は日付が変わるまでに家に帰してくれ―――!!!!! -
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