『宿命の交わる城』 1:地下牢にて―2 - 2005年08月30日(火) 失われた右の眼球は痛みそのものと化したようだ。両手は背後に鉄の柱を抱くようにして鎖でつなぎあわされて倒れることすらままならない。マルチェロは痺れた体で身じろぎ、乾いた唇を舐めた。乾いた血の味ばかりだ、感じられるのは。見えるのは血の臭気に塗られた暗闇ばかりで。 「ジェズイー…?」 かすれた声に応えはない。 「シュテルン…、イーノ?」 そうして十二人の騎士の名を呼んだ。だが答えはない。そうだ、あるはずはない。一人ひとりが責めさいなまれて殺される姿を見たではないか。ジェズイーが生きながら首をもがれ、神の名を呼ぶシュテルンが臓腑を切り分けられ、命乞いをしてダニエルの靴さえ舐めたイーノが踏み殺され―。 「――」 足元はぬるんでおぞましい音をたてる。流れた血が凝っているのだ。これは夢かと疑おうにも、苦痛がそれを許さなかった。だが現実かと問われれば、夢であると答えるほうがよほどつじつまがあってはいなかったか。 三日より前ではなかった、彼らがアスカンタの王城を出立したのは。円柱城とそのほか王国内の主だった貴族の城を廻る表敬の旅は半月の予定だった。ジェズイーは騎士団の旗を掲げ、シュテルンは銀の団長旗を掲げて新たな聖堂騎士団長に付き従った。そして更にさかのぼることわずかに十日前には、マルチェロはサヴェッラのあの誇り高い大聖堂で団長の位を受けたのではなかったか。光と花と曇りなき栄光に取り囲まれて。 いったいいかなる暗転が起きたのか。苦痛と絶望のなかで半ば麻痺して立ち尽くすマルチェロの左目に、かすかな光が映った。松明の光だ。そして耳には床を打つ堅い足音。のろのろと顔を向けた。 「約束通り、来たぞ。来てやったのだ」 声は狂気に二重に響いている。揺らめく光の中で瞬きもしない顔はこの城の主のそれ。アスカンタ王国の古い城、かつては王の住まった見張りの塔、いまはただ円柱城と呼ばれる北辺の防塁の主人の。 「――ダニエル、貴様」 光は壁際の死体を影もあらわに映し出す。床を覆う赤色の泥濘も。 「さあ、おまえの左目を食いにきたぞ、マルチェロ。げすめ。おまえは盲目のミミズだ。無様にのたうつがいい。死ぬまでにはまだ時間があるからな」 刃が光った。マルチェロは手の鎖の鳴る音で、自分が震えていることを知った。 -------------------------------- 果たして始まりました、衆院選挙。今日が公示です。告示じゃないぞ。 それにしても、先日、公開討論会に行ってきたのだが… …政治家ってけっこう頭いいんだなー…。 いや、あたりまえつったら当たり前なんですが、 演説では同じことしか言わないんだよな、連中さ。 あらためて反対意見とぶっつかって、論点を深めていくと、 ちゃんと考えているということがこっちにもわかる。 あと、本人の考えなのか党の教本通りに話しているのかということも。 こういう活動はもっとガンガン広めるべきだと思った。 朝日の記者の捏造事件についても思うところはあるがまた後で。 めっちゃ眠いわ。 -
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