- 2005年05月08日(日) 基本的に頭の悪い人間なので(いやホント)、 あんまり前後のことは考えない。 カランシアは刃を抜いて、己が首にあてがった。対するはメネグロスの王にして美丈夫ディオル、その首に下がるのはナウグラミーア。エルベレスの御手になる一つ星メネルマカールさながらシルマリルは白く燃え立ち輝いて、今やその死のときを迎えたフェアノールの息子を照らした。カランシアは清い光の石を見上げるや言い放った。 「告げよ宝玉、我が兄マグロールを見ることがあれば告げよ。ノルドールの滞留の時は未だ尽きざるに、予のみ去ることを許せと」 この時にあたり、ディオルはマイアの血に目覚めて予見を得て叫んだ。 「公子よ、御身は間違っている。今日の日の終わるまでには汝の兄弟の多くが逝く。末の双子も逝こうし、ケレゴルムとクルフィンも逝こう。そしておお、ベレンとルシアンの息子、マイアのメリアンの裔、美丈夫ディオルもまた逝く。メネグロスは滅び王家の子らは死ぬ。希望はあるが我らのためには役立たぬ。今日の日にこそ災いあれ」 「まことにシンダールの王よ」カランシアは言った。「御身はノルドールの災いの網の目にとらわれている。だが誰が酷い運命を逃れられようか」 ディオルはそれを聞いて刃を下ろし、手を差し出した。 「それではともに泣こう、公子よ。我も君も今日の日を終えられぬ」 カランシアは声を上げて笑った。 「フェアノール王家の血を見よ、その運命を見よ。希望は我らの上になく、許しを求めず破滅することをもって我らは唯一の誇りとする。西方諸王の綺羅星のごとき都の数々に栄光あれ。だが予は再び臨もうとは願わぬ」 かくしてカランシアは自らの首をはねて死に、やがてディオルも背後から襲い掛かってきたケレゴルムのために殺された。しかしそのケレゴルムもディオルの郎党の手にかかって死に、フェアノール王家の末の双子、匠のクルフィンもまた命を落とした。これらすべては流血の日の終わる前に起きた。 私の文章の祖型は、もしかしてイリアッドか? それともベーオウルフ?ローランの歌? ちょっと1000年かそればかり古すぎる。 まあ全部、好きですけどね。 文語体っていいよなー。 -
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