- 2005年02月19日(土) 雨のにおいのするコート 疲れ果てて迎えた週末、目覚めればすでに午後。屋根からは雨の音。空腹を覚えるが冷蔵庫の中はいつも通り空。たった一人で住み、日常的な愛情をおよそ拒むことにはこうした不都合がある。 傘がない。コートを着込んで近所のパン屋に向かう。雨は上から降ってくる。春に先立つ雨だ、冷冷たくもない。八十を過ぎた店番の老婆からコロッケパンを買って道を折り返す。雨は無言の私の上に落ちてくる。 他人に逢うことは性行為に似ている。粘膜をこすりつけあってすり減らす。少なくとも私にはそうだ。忙しかった週には、週末は面前を犯されたくない気持ちに満たされる。私は繭のような部屋にこもり、丸くなって眠る。何冊かの本はどれも薄暗い洞窟に似て私を誘いこむ。明るい日差しのような本を私は休日に読まない。そして私は暗い洞窟に竜のように長々とうろこのある体を横たえる。一人で。 -
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