終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2005年01月18日(火)

 太陽にまさる光輝ありや、天にまさる高みありや。
 祈りに集え、霊の家に集え。ホサナ。

 習い覚えた聖歌を口ずさみ、ククールは雪の林を歩く。小暗い針葉樹の陰が青白い雪に映え、絶え間なく降り続く雪が空間をほの明るく照らし出す。このような風景がいったい人間の精神に異常を来させずにすむものなのかとククールは考える。
 この風景はこの世のものなのか。この夜はこの世のものなのか。物狂おしく胸騒がせる風景ではないか、あまりにも。あまりにも。誰かの名を呼びたくなる。人間は営々と耕し沈黙と魂の平穏を抱いて生涯を終えることもできる種族だというのに。なのになぜこんな、そらおそろしいような風景を大地はまとうのか。狂えというがごとく。

 ホサナ、ホサナ。

 自分がいったいその男の何をこれほど思慕しているのか、ククールにはわからない。あるいは思慕しているのかどうかさえ。わかっているのはつまりそうだ。彼にはほかの誰でもなく兄に言わねばならぬ言葉があり、ほかの誰でもない兄から聞かねばならない言葉がある。少なくともそう信じている。それだけだ。
 だがそれはいつか叶うのか。ククールにはわからない。あるいは叶わないのか。そうかもしれない。だが叶えたいという願いばかりは消えまい。奇妙だ。どうして自分は天に向けて手を伸ばす茨のように、望みを抱いてやまないのか。
 ああ奇妙なことだ。

 来れ、祈れ。ホサナ。
 永遠の主はもろ手を広げ、御家に我らを迎え入れたまえり。
 揺るぎ無き庇護と許しのもと祈れ。ホサナ。


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