終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2005年01月07日(金)


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(あったこと、それともなかったことなのか)

私は良き魔物。一つの魂を探している。
炎から作られた我が身にかけて、唯一の神の御名にかけて、ただ一つの魂だけを。
それは、そもそものはじめから私の伴侶だった。
分かち難きを分けたもうたのは、神の御業。

(こう前置きして、その魔物は言葉を始めた)

夜の砂漠、露の滴る大地の憩いのとき、私は初めて目覚めた。
私を作るのは、輝く青い炎の奔流。
創られたばかりの私を前に、神は静かに言われた。
全ての魔物は欠けている。魂を探せよ。
かくして全ての魔物の負う宿命を、私もまた内に刻まれて生まれ落ちたことを知った。
そうとも、全ての魔物は欠けているのだ、旅人よ。
だからこそ我らは人間に纏わり、時には害を時には利を与える。
我々は、我々とは、捜し求めるものなのだ。

(私は言った。「だが人間もまた己の平安を捜し求める」
 すると魔物は笑ったようだった)

汝等の平安は汝等の内にある。だが、人の子よ。
我らの平安は、我らの外にあるのだ。

(私はそれ以上、魔物の邪魔をしようとは思わなかった。
 そこで魔物は続けた)

灼熱の陽光に焼き付けられながら、砂漠のうわべを彷徨する遊牧の民の天幕を探した。
月光の下、白銀に輝く海の面を行く船の狭い船窓から内を覗いた。
湧き出る泉のほとり、 なつめやしを育てる者たちの白い土の家に訊ねた。
豪奢を極める秘められた後宮でさえ、私の探索を逃れることはできず、
商人たちの集う市場、 騎士たちの遊ぶ馬場 、奥まった路地裏の静かな家々、
皆、私の訪問を受けなかったものはなかった。
だがどこにもなかった。私の平安、私の魂は。
嘆きは幾世紀の上に続き、彷徨は幾万の日と月におよんだ。
輝かしいこの身の青い奔流も、絶えることなき嘆きにより色褪せるかと思われた。

だが、至高の神は称うべきかな。
その前に隠されたるものなく、詳らかならざるものなし。


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