- 2002年12月30日(月) 反魂歌。わたしの犬へ。 1: 真昼を歩く、おまえとそうしたように。 森を歩く、水の辺を。おまえとそうしたように。 私は歩く、おまえとそうしたように。 さあ、戻っておいで。 戻っておいで、おまえ。 藪をさわがせるものがある。 水面をざわめかせるものがある。 みんなおまえと聞いたもの。 みんなおまえと見たもの。 さあ、戻っておいで。 戻っておいで、おまえ。 2: この手におまえの毛皮を知らせておくれ。 この耳におまえの足音を聞かせておくれ。 この目の端におまえの姿を見せておくれ。 口笛吹こう、いつもおまえを呼んだよう。 見渡そう、いつもおまえを探したよう。 耳を澄ませておまえの足音を聞こう。聞くよ。 だから。ああ、戻っておいで。 戻っておいで、そうして教えておくれ。 おまえはいなくなりなどしなかったと。 3: もうおまえを見ることはないのか。 もうお前の声を聞くことはないのか。 あの小さな墓だけが、ああ、おまえの名残なのか。 おまえは過去になるのか。おまえは忘れられるのか。 ああ、おまえ。 私はおまえの名前を呼ばない。 おまえがいないということを、今更沈黙に教えられたくはない。 ああ、おまえ。 返ってはこないのか、戻ってはこないのか。 おまえ、わたしの犬。わたしの道連れ。 -
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