終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2001年12月26日(水)

遠い昔の食べ物。

1:
プルーストの『失われた時を求めて』の冒頭、
マドレーヌを紅茶に浸して食うシーンがある。

それは、主人公の昔のおやつで。

それを口に含んだ瞬間――よみがえる。立ち戻る。
――記憶が。
ひどく、鮮やかに。


2:
その昔、わたしはシンガポールに住んでいた。
私の家の近くに小さな映画館があり。
時々、その横をとおった。

映画はむろん、英語で。
だから、見に行ったことはなかったのだけれど。

――小さな売店があり、おやつをいくらか売っていた。
ポップコーン、ホットドッグ、コーラ、ペプシ。
ガム、スナック、飴……。

私が一番好きなのは。
梅を干して、甘酸っぱいような粉をからめたもので。
それはちょっと言いようがない、キョーレツな味で。
眠気がふっとぶので、好きだった。


3:
神戸に。
ルミナリエを見に行ってきた。
ルミナリエの近く、南京町なる中華街があって。
そこで。

見つけた。

――ああ。
あの町の風景が。
映画館のあのうす暗がりが。
売店の老人が。

――ああ、なんて、鮮やかで。
懐かしく。

そして。


4:
遠い。


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