渡会宗一郎
いつか見つけた頭蓋骨がまだあるかと思って、樹海に行った。
予想できたことだけれど……迷った。
方角だけ確認して歩いていたら、道に出た。
堀くんと人がちょうどいた。人は車だった。
で、突然僕がヤブから出てきたので、驚かせてしまったらしい。
人の開いた扉が堀くんを跳ね飛ばして、ひどいことになった。
もっとも、堀くんはいつもケガをしているから、
ただでもひどいことになっているのだけれど。
堀くんのケガを見ようとしたのだが、
仕返し、とばかり堀くんが車のフロントガラスに石を投げ、
見事ぐしゃぐしゃにしてしまった。
で、怒った人が堀くんに蹴り返した石が僕の肩にあたった。
骨は折れなかったが……かなりひどい打撲だ。
まあ、思いっきり蹴った石だから、仕方ない。
堀くんは結局、傷をみせずに帰ってしまった。
僕はしばし、どうして自分はこうドジなんだろうと悩んだ。
堀くんは……いつも、怪我をせずにはいられないようだ。
どうしてかはわからないけれど、そうなのだ。
傷を通してしか、誰かと触れあうことができないのだろうか。
フロントガラスのない車に乗って、家に帰った。
……僕は、人といると、すぐに泣く子供のようだ。
(手帳の罫線だけの欄。かりこりと。最後の段落は、やや字が小さめ)
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