あふりかくじらノート
あふりかくじら



 手を出してしまった。

とうとう。いままで必死で避けてきたのに。
見て見ぬふりをしながら、気にしていないふりをしながら。
『負け犬の遠吠え』(酒井順子 著・講談社)である。
もう出版されてから三年が過ぎようとしている。手を出さないようにしていたから。だって読んだら、負け犬決定??なんて。
怖かったけれど、一気に読了。

この三年の間、負け犬予備軍だったわたしはいつしかあと三ヶ月あまりでミ・ソ・ジ。予備軍どころか負け犬株式会社の内定が出ている。
こんなにストレートな言葉で語るこの本は、どれだけの負け犬読者が「まさに自分のことを語っている」と思ったことだろう。
負け犬街道見事にまっしぐらなわたしは、笑ってしまうくらい彼女の負け犬像にぴたりとあてはまる。
今は、二十代半ばのときのようにニッポンのOLをしていないからちょっと違うようなところもあったが、おおむねあたり。
一ページごとに、うぉー、とか、うはー、とか奇声を上げながら読んだ。

うつくしい負け犬代表・向田邦子のようにすてきな女性になれるか。
射手座B型物書き、その他もろもろ驚くくらい彼女と重なるところはあるのだが、如何せん「美人で料理上手」というところだけは、たぶん…いや、きっとわたしも…ということで。
彼女のように独身で過ごすのかしらん。などといいつつ負け犬街道のほんの入り口に立っているわたしは、まだ夢も希望も不安もすべて持っている。

それでも勝ち犬街道を進み行く友を尻目に、結婚や出産という苦労と幸せを想像しながら、一方で、それは自分のことではなくてよかったと安堵している自分がいる。


緒方貞子は、勝ち犬でありキャリアウーマンのトップ。
わたしが心にいつも気にかけている向田さんや緒方さんのことが書かれているなんて皮肉。こんな恐ろしい本を書いた作者に完敗。皆の言わなかったことを一気に代弁するその勇気。

一気読みすべき本のひとつである。
でも、少なくともわたしはいまのところこの本に書かれている教訓に従うべきかとは思っていないが。
それだけ余裕、というわけではないんだけれど。


2006年08月27日(日)
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