あふりかくじらノート
あふりかくじら

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■ オーロラの記憶。

ぼんやりと緑色の光を放つオーロラの写真が、
新聞に出ていた。
南極では最後の見ごろを迎えるころだという。

いつも写真で見るオーロラは、
ぼんやりして形が良くわからない。
なかなかうまく出てくれないし、
写真にも写ってくれないのだろう。

わたしの記憶に焼きついて離れないオーロラは、
雪の分厚く積もった真冬のアラスカのそれだ。
わたしはまだ中学校に入ったばかりの少女で、
アンカレジに暮らしていた。

オーロラの、まさに文字通り
風になびく巨大なカーテンのような
その緑色のひかりに、ただ圧倒されていた。

オーロラは、圧倒的だ。
あまりに巨大で、果てのほうから空を大胆に横切り、
ゆっくりと、ときに早く風になびくようなその姿。
恐ろしさというか、畏怖というか、
ともかく「おそろしい」という感情に支配されるそのときを
わたしは忘れることができない。
生き物のように、意思を持つもののように。

「きれい」ではない。
わたしの中にあったのは、「おそろしい」という感情だ。
そして、魅せられてしまう。動けなくなる。
耳が痛くなるくらい、雪の分厚く積もった
冷たい空気の中で、しんと静かなのに
なんだか轟音が波動と共に響いてくるような錯覚。

宇宙に浮かぶ巨大な磁石である地球なのだ。
地球というものがどんな形をしているのかを、
その巨大な光を見ていると意識させられる。

環境問題だとかを言う前に、まずオーロラの姿を
見たらいいのではないかと思う。
これで地球の存在が動物的にわかる。
生きていくことについて、考えさせられる。

オーロラを、甘く見ないほうがいいんだと思う。

わたしもいつか、またあの土地へ行って
少女のころの記憶をなぞってみたい。
今度は、何を思うだろう。

2004年10月05日(火)
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