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■ 贅沢で素朴な文章ほど、かぐわしく。
ちいさな文庫本が、うつくしい人生の奇跡のように、 ささやかで輝かしい重みを持つ瞬間がある。
向田邦子の文章には、まったく贅肉がなく、 余計な色味も不要な感傷もなかった。 見事なくらい、さらりとした重みがあって、 ちょうどよい骨格に肉付けられていて、 身体中にいっぺんにぴったりと広がる その無駄のなさは、じつに見事だ。
大人なのだ。 ちょうどよく、大人なのだ。 これぞ、エッセイストの真髄なのかもしれない。 目新しいことばづかいで読者をはっとさせる 江国香織があまりに若く見えてしまうくらい、 そこには、まったく違ったかぐわしさがある。
エッセイの第一文が、いつもとても印象的なのは、 わたしもこころがけようとしている大事な点。
このひとのエッセイに出会えてよかったと 心のそこから思える。
わたしの文章も、このように歳をとっていきたいものだと思う。
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『女の人差し指』向田邦子 著 文春文庫
2004年09月21日(火)
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