あふりかくじらノート
あふりかくじら



 バレエ少女の夢くじら。

近頃、ある仕事を手伝っていて
毎日のように深川の八幡様を通り抜ける。

八幡様のすぐ脇に、古いつくりのペンションのような
建物がある。
外装に白いペンキの塗られたちいさな家で、
小さくて可愛らしい看板がかかっている。
個人のバレエスクールなのだ。
そのことに気づいて、ものすごく嬉しくなった。
昔を懐かしく思い出した。

夕方に通ると、あかりの漏れる窓から
アン、ドゥ、トロワ。
ピアノの音色がリズムよく。

バレエ少女が出てきて、にぎやかにおしゃべりしている。
おだんご髪を結って、バッグを持って。
昔、あんな日もあったなぁ、なんて
涙が出そうで、懐かしくて仕方がない。

わたしがバレエ少女だったころ。
バレエが好きで楽しくて辛くて、でも楽しかった。
バレエのない人生など考えられなくて、練習した。
トゥシューズを許された日のことは忘れられない。
幼稚園から中学生になるまで、
バレエはわたしの生活の一部だった。

でも、バレリーナになれたのは、わたしではなくて
わたしの従姉妹だった。

わたしがバレエ少女だったころ。

楽しそうに騒いでいるあの子達のように、
携帯を手にしてはいなかったけどね。

2004年09月03日(金)
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