ケイケイの映画日記
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2022年07月14日(木) 「PLAN75」




前半、細部などあまりにリアルなのに、段々現実と離れてきて戸惑いましたが、これ、要は近未来を描いているのですよね。誰に向けての作品かと言う視点で観ると、ぐっと感想がまとまりました。監督は早川千絵。

7主役の倍賞千恵子が、誰に迷惑をかけているわけでもないのに、とばっちりで、ホテル清掃の仕事を解雇される様子が切ない。年々年金は減らされ、生活の足しに仕事をする人がほとんどで、年金まではまだ数年ある私も、元気なうちはずっと働きたいと思っているので、この設定は身近な恐怖さえ感じます。

鑑賞前は、私のような遠からず75歳になる人がターゲットの作品かと思っていました。でも違うみたい。この作品に出てくる磯村優斗や河合優美のような、若い年代の人に観て欲しいのじゃないかな?

この若い二人は、「PLAN75」に仕事に携わっています。磯村優斗は、久しぶりに会う伯父がPLAN75を選択した事に心がざわつき、河合優美は、死ぬまでの数日間、倍賞千恵子の話し相手をした事で、彼女へ情が湧く。二人とも働く前は、身体に問題のない老人が死を選択する心情や環境に対し、自分の心が疼くとは、思ってはいなかったはず。75歳とは、若い彼らにとって「死んでも悔いのない年齢」だと思っていたはず。

達観している老人たちに対して、この制度に疑問や不安を感じる二人。この感情を、若い人たちに観て欲しいのだと思います。もしこの制度が敢行されるには、何年も論議がされるはず。私のような中高年年にはSFでも、若い彼らには、本当にあるかもしれない未来です。この作品、これがテーマなのだと思います。

今のように少子化に低賃金では、年金も充てにはならず、結婚率の低下で血縁も薄くなる一方。自分の老後は自己責任と、国は言いたいかも知りませんが、今の状況では、それは酷と言うものです。この映画を観て、若い人たちが将来の事を見据えて、国に物申す知識を得ようとすれば、この作品は優れた社会派作品となると思います。

自分が身に詰まされる作品だと思ったら(勿論その部分もありました)、息子たちの将来が心配になった作品。早川監督、次作も是非見ようと思います。




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