ケイケイの映画日記
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2021年07月11日(日) 「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」




前作より完成度が高くてびっくり!これは予想外でした。前作は監督主演のジョン・クラシンスキー&エミリー・ブラント夫妻が好きなので鑑賞。まあ、悪くないですよ、くらいの感想でしたが、アメリカではスマッシュヒット。なので今回も特に期待していませんでしたが、パニックホラーに力点が置かれていた前作と比べ、今回は監督の人生哲学が投影されているなと感じました。面白かったです。

エブリン(エミリー・ブラント)は、夫リー(ジョン・クラシンスキー)は亡くなり、リーガン(ミリセント・シモンズ)、マーカス(ノア・ジュブ)と赤ちゃんの三人の子を連れて、音に反応して襲ってくるモンスターからの逃亡の日々を送っています。ある日、絶対絶命の危機に晒された時、ある人に助けられます。その人はリーの友人エメット(キリアン・マーフィー)。妻子を亡くした彼は、一人生き抜いていました。翌日、独りで他にも生存者がいるはずと、隠れ家を抜け出したリーガン。娘を探してくれと、涙ながらに懇願するエブリンに根負けしたエメットは、リーガンを探しに行きます。

前作で少女ながら、禍々しさと神々しさを共存させたような、不思議な魅力を放っていたミリセントが、今回主役の役回りです。禍々しく不穏な前作の雰囲気は、子役ながら卓抜した演技力だったようで、今回は神秘的な力強さを感じさせます。今回、出演のキリアン・マーフィーも、私は好きな俳優です。エメットのような取り立てて個性の必要のない役どころは、繊細さや癖の強さを得意とするマーフィーには、役不足だと思っていましたが、不穏さと神秘性は、マーフィーの得意とするところ。ミリセントとの相性は頗る良く、二人の道行は、まるで実の親子以上の親和性を感じ、良いキャスティングだと思いました。

冒頭、マーカスの少年野球を応援する風景から一転、モンスターの襲撃は、前作を未見の人への紹介ですね。それと共に退屈そうな、でも親だからの義務感で応援に来たリーとエメットの様子は、それが如何に幸せな風景だったかを、観客の脳裏に焼き付けます。ダイブの手話を覚えるエメット、自分も恐れ戦きながら、子供たちに「大丈夫」を繰り返すエブリンの様子は、のちのち伏線だったのだと、気づきます。


リーガンの予想した通り、他に生存者がいました。しかしリーダーによって、その集団は全く別の顔をしており、荒くれ者がリーダーの集合体は、まるで落ち武者狩りのような荒み方で、まさにディストピの様相ですが、人格の優れたリーダーが率いる集合体は、穏やかで平和に暮らしている。これは「国」を当て嵌めて考えてもいい事だと思います。監督もそう言いたかったんじゃないかな?

神出鬼没のモンスターので現れ方は、前作より洗練されており、何度か椅子から飛びあがりました。モンスターがじわじわ近づく焦りと、スピード感のある恐怖の使い分けも上手かったです。

モンスターが襲来してから、一年の以上の月日が経ち、子供を守らねばと言う悲壮な義務に疲弊していく大人に対し、その何倍ものスピードで成長していく子供たち。ラスト、モンスターに立ちはだかったのは誰だったのか?感激して泣いてしまいました(実話)。

またまた続編あるようなラストです。大人たちはみんな身体のある箇所を狙われていました。それが次にどう繋げるのか?絶対次も見なきゃ。私はジャイモン・フンスーは、死んでないと思います!


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