ケイケイの映画日記
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2017年02月14日(火) 「マリアンヌ」




CGアニメから実写に帰ってきて、目覚ましい活躍のロバート・ゼメキス。王道のメロドラマを端正に作ってありながら、ゼメキスの趣味も全開。楽しませて貰えます。

戦時中のモロッコのカサブランカ。英国人の諜報部員マックス(ブラッド・ピット)は、フランス軍レジスタンスのマリアンヌ(マリオン・コティヤール)と夫婦を装い、ドイツ大使暗殺と言う任務を担います。その中で愛を育んでいった二人は、任務後結婚。娘にも恵まれ、幸せな結婚生活を送っているある日、マリアンヌに二重スパイの疑いがかけられます。

いや〜、いいもん見せて貰いました。やっぱメロドラマは美男美女でなくっちゃ。それに場所はカサブランカ!前半は研ぎ澄まされた能力を必要とするスパイ活動を、丹念に描写。二人の優秀さを映しながら、当時の華麗なファッション、異国情緒あふれるセットを再現。見応えたっぷりです。

後半は一転、質素ながらも若夫婦の堅実な巣作りを描いているので、疑心暗鬼のマックスの苦悩を、観るのが辛い。妻がスパイだったら、この幸せは、根底から覆されるのだから。齢53歳のブラピ、まだまだメロドラマの二枚目が出来るじゃないか!と、感激します。

砂嵐の中の車中での激情の様子、空襲の中での出産など、ドラマチックでロマンチック。その他の空襲の様子にも、色々CGを駆使し、この辺は王道の中にも、監督の趣味もきちんと入っています。

ただ、完璧だった前半から比べて、後半イギリスでの様子は、若干弱い。妻の秘密を探ろうとする余り、マックスの公私混同が激し過ぎるし、出産時のマリアンヌの台詞で、あ〜、そう〜と、オチもわかってしまいます。この辺は脚本をもう少し練って欲しかったところです。それと、良かったけど、欲を言えば、新妻を娶り、赤ちゃんのいる役ですからね、やっぱりブロピには10年前に演じて欲しかったなぁ。

だがしかし!それを補っているのが、マリオンの好演。どの角度から観ても完璧に美しく、前半は社交界の華的優美さと、スパイとしてのクールさのバランスが抜群です。、平凡さを前面に押し出した美しき良妻賢母ぶりの後半も素敵。とにかくもぉ〜、どこから観ても、ザ・女優の美しさ。彼女を観ているだけで、元が取れます。気付かぬふりをしていますが、彼女も夫の様子に動揺しているのも、上手く演じています。

この作品でアンジーがプラピとマリオンの仲を疑い、離婚のきっかけになったそうです。このマリオンを観ちゃ、現在人権家と映画監督が中心で、女優業はお休み気味のアンジー。女優として女として、マリオンに嫉妬したかもなぁと思うくらい、大輪の花が咲き誇ったような、マリオンでした。

メロドロマの端正な様式美に彩られ、うっとりはするけど、感動はせず。程合いもほどほど。深みはないけど、満足はさせて貰える作品です。


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