ケイケイの映画日記
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2016年03月05日(土) 「ヘイトフル・エイト」




あぁ〜面白かった!長尺の映画は大嫌いな私。及び腰ながら観に行きましたが、なんのなんの。三時間弱、だれる事もなく息つかせぬまま、ラストまで突っ走りました。監督は名前でお客を呼べる数少ない監督の一人、クエンティン・タランティーノ。今回あらすじはなし。ない方が断然楽しめます。

有名どころ、そうでないところ、出演者大挙ですが、各々キャラわけがくっきりで、見間違う事はありません。役名なんか忘れてもOKなくらい、皆が皆強烈な怪演です。私はサミュエル・L・ジャクソンと、オスカー候補になったジェニファー・ジェイソン・リー以外のキャストは、すっかり忘れて観ましたが、その方が終盤断然楽しめます。

ジジイ率異様に高いキャスティングです。馬車にお尋ね者のリーを連れた男を観た時、誰なんだこのジジイは?と目を凝らしたら、何とカート・ラッセル(笑)。そしてリーは超下品でビッチな老婆風(笑)。ジャクソンも、通常はスキンヘッドなので、全く年齢を感じさせませんが、今作はあえて禿げた部分以外の所に白髪を生やし、役作りバッチリ。それでも三人とも、強烈な役柄に負けない役者としての存在感がすごくって、まずそこに引きこまれました。これはティム・ロスやマイケル・マドセンなど全てのキャストに言える事でした。

とにかくみんな胡散臭い。みんなが語る「自分」が、どれも怪しい。誰が嘘をついているのか?いやみんなが嘘つきかも?そう思うと、ぼーっとなんかしていられません。舞台がほとんど雪に閉じ込められた小屋の中なので、舞台劇を見ているようでもあります。そして中盤から終盤にかけて、じっくり伏線を拾っていくので、お楽しみに。

全編血反吐は吐くは、銃はぶっ放すは、ナイフで切りさくは、流血のオンパレード。でも私は血には耐性があるのか、全然平気でした。臓物とか脳みそが出なかったからかしら?(笑)。気の毒だったのはリー。女性ながら容赦なく、一番殴られ血まみれで、「キャリー」のシシー・スペイセクかと思いました(笑)。でもね、この女本当に悪党なんですよ。挑発するような事を、自ら仕掛ける。ある意味人間として対等なのかと錯覚するほどです。DVとは、根本的に違います。その証拠に、レイプもセクハラまがいも一切なし。必要もないのに、この手の演出をしたがる監督もいますが、私はタラの見識を感じて、さすがだと思いました。

デミアン・ビチルのメキシコ人、ジャクソンの黒人と、差別対象の人たちを、これまた容赦なく侮蔑しますが、それはこの作品の本流として描いているのではないと思います。むしろそれを逆手に取ったしたたかさを描き、悪党として(ヘイトする人も含めてね)同じ穴の狢感を出していました。これも逆説的に、「平等」を描いていたと思います。

終盤些か強引な展開になりますが、それまで面白かったので、全然問題なし。ティム・ロスは最初登場時、これまた忘れててクリストフ・ヴァルツかと思いました(笑)。最近タラにはヴァルツが寵愛されていますが、ロスもまだまだ負けてないわ。スマートさの中にどっぷり曰く有りを匂わせて、とっても上手かったです。まだまだ彼もたくさん観たいです。ウォルトン・コギンズも、それまでちんけな小心者を好演していたので、最後に見せた男の意地に意外性があって、良かったです。

ブルース・ダーンの、これは「グラン・トリノ」逆バージョンか?と言う見せ場があったり(酷いけど)、老名優にも見せ場を作ってあり、それは役者全部であって、その辺で長かったのかと思います。これも監督の役者への敬意ですね。みんなに怪演させて、解り難いですが(笑)。そして大御所エンニオ・モリコーネの、オスカー受賞もおめでとうございます。私は大変面白かったです!


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