ケイケイの映画日記
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2016年02月15日(月) 「オデッセイ」(MX4D 字幕)




映画人生初のMX4Dです。いつも「お前ばっかり映画観て」と、夫から罵られているので、この作品なら夫も楽しめるかも?と、誘ってみたら二つ返事でOK。夫婦50割引きで安く観られるので、どうせなら新しい方式で観ようか?多分3Dより500円くらい高いくらいだろうし。と思って、予約開始になって、ふたを開けると、何と鑑賞料金+1600円で2700円ですよ、奥さん!(私は3Dメガネ持っているので、-100円)。二人で5300円?観る予定の日は、TOHOシネマズの日で、皆々様1100円と、夫婦50割引きのお得感もござらん。愕然として、

私「普通の3Dでええやん」」と言うと、
夫「話の種にええやないか」と仰る。
私「でも高血圧の人は、止めた方がいいみたいやで」(←最近薬を飲み始めた夫。観るのを阻止したい妻)
夫「ええやないか、大丈夫やろ」

いやに食い下がるなー。こんな事なら、ポイント貯まっていた分使って、一人で見れば良かったわー(夫が観たがっているのに人でなし)。そして極めつけは、

夫「長い事映画の感想書いていて、読んでくれてはる人に、こんなんやったと、伝えなあかんのと違うか?」

ええい、その言葉で腹は決まった!大枚5300円払ってやろうじゃないか!
映画は前評判に違わず、すごーく良かったです。MX4Dについても後で書きます。監督はリドリー・スコット。

火星を探索中の宇宙船ヘルメス。船長のルイス(ジェシカ・チャステイン)と5人のクルーでしたが、突然の嵐に見舞われ,火星より撤収する事にします。その作業中クルーの一人ワトニー(マット・デイモン)が、撤収作業中に折れたアンテナの直撃を受けて吹き飛ばされ行方不明に。その状況からワトニーの生存は絶望的で、ルイスは他のクルーの命を優先し、火星から脱出する事に。報告を受けたNASA長官サンダース(ジェフ・ダニエルズ)は、ワトニー死亡と発表します。しかし奇跡的にワトニーは生きていました。火星の探索はこの後4年後。ワトニーのサバイバルが始まります。

とにかくワトニーが超ポジティブにして、楽天的。わずかな食糧の中からジャガイモを選び、人糞を肥料に火星の土を利用して、あっと驚くハウス栽培。彼は宇宙飛行士にして、植物学の博士。芸、いや学びは身を助く。その他クレーン車も動かせば、大工仕事も。冒頭の傷口の手当は、ドクター顔負けでした。何と言うか、一人TOKIO?(笑)。ビニールとかガムテープもどきとか、あんなのが死ぬか生きるかの時、ましてや火星で使えるのか!?と、少々驚愕でした。ここもTOKIO感倍増(笑)。とにかく次にどんな手を打つか、考えて考えて実行に移す。人間って智恵の生き物だなぁと、感心します。

自分の記録をコンピュータに録画するワトニー。ユーモアも毒もいっぱい。彼の頑張りの元は、「こんな所で死ねるか」なんですが、それより私が感じ入ったのは、ストレスがあったり、死を覚悟しても、孤独感が全くないのです。NASAがワトニーを見つけてから、古い機械で交信しだしてからは、一層でした。

これは食物を育てているなど、一人なのでやる事がいっぱいで、孤独に浸れないと言うのもあるけど、ワトニーを支えたのは、ルイスが残していった、ディスコミュージックじゃなかったのかなと思います。ディスコミュージックと言うのは、熱く愛を歌ったり、音楽はダンサブルで、俗っぽい。娑婆そのものじゃないですか。死んでたまるか、もう一度娑婆に戻ってやるぞ!と言うファイトを沸かせたんじゃないかなぁ。

配役の目配せは、NASA広報統括に女性(クリスティン・ヴィグ)、宇宙探索の責任者に黒人(キュエテル・イジョフォー)、クルーにヒスパニック(マイケル・ペーニャ)、エンジニアのトップは中国系。そして船長は女性。もちろん要所要所に白人男性(ダニエルズ、ショーン・ビーン)を配し、完全平等の世界観です。これが現在のアメリカですよと、言っているのか?NASAはCIAみたいに非情じゃないし、叩き上げは、キャリア組であろうトップにも噛みつくし、お決まりだけど、表層的から一歩抜け出た、丁々発止を見せてくれます。

難航するワトニー救出作戦。あの手この手を繰り出しますが、全て帯に短し襷に長し。そんな中奇策を授かったクルーたちが、自分たちの将来を顧みず出した結論は、定番の成り行きですが、観ていて感激しました。クルーのヨハンソン(ケイト・マーラ)が、同じクルーのベック(セバスチャン・スタン)がワトニー救出へ向かう無事を祈って、ヘルメットの窓越しにキスをする。「今のは内緒よ」といたずらっぽく笑う姿が印象的。彼が好きなのですね。でも恋愛はご法度のはず。だって妊娠したら大変だもの。地球の家族とメールや直接コンピュータで話せても、宇宙船の暮らしはやはり、ストイックなものなのだと思いました。

長い月日、一人で頑張ってきたワトニー。筋骨隆々だった体が、やせ細り肌は弛み、吹き出物だらけ。限界が近づいているのですね。マットは本当に減量したのでしょう。多分最初の方に映るマッチョな体も、落差を出す為作ったのでは?ご立派!

宇宙を映す3Dは美しく、雄大な風景が観られます。孤独感より父性的なものも感じたのは、きっと3Dのお蔭です。MX4Dに関しては、この作品では成功とは言えない感じ。宇宙船発射や、気流に巻き込まれた時、座席が前後左右に動くのですが、この作品のように、内容も厚みがあるものは、返って気がそがれて、画面に集中出来ません。霧も匂いも要らなかったな。それと座席を動かす為、やや軽めに作ってあるので、隣の人の振動が伝わり易い。私の隣の人は大人しかったですが、「足元どんどんしないで下さい」と言う声も聞こえました。単純なアクションとか、内容より映像重視の作品なら、面白いかも?作品は選ぶと思います。

ラストはハラハラするも、安心と感動の展開です。中国におべんちゃらしているプロットもあり、色んな意味でハリウッド的作品です。でもハイクオリティ!ラストの音楽は、最後まで人を食ったようなグロリア・ゲイナーの「i will survive」(笑)。私なら、クール&ギャングスの「Celebratio」にしたいわ(笑)。


夫と「面白かったな」「MX4Dは要らんかったな」とわいわい言いながら劇場を後に。
夫「通常より500円くらい高かったんか?」
私「???言うたやろ?一人2700円。1800円の料金で観たら、3400円やんか」
夫「そんなん知らんかったわ」
私「何回も言うた!私は普通の3Dにしようって言うたのに、あんたが絶対こっちって言うたんやんか!」
夫「そうか。忘れたわ。悪いから2000円は出すわ。」
私「お金要らんから、お願いやから、何回も言った事、聞いてないとか言わんどいて!」

あぁゼイゼイゼイ。夫を引接すると、ストレスが溜まりまくる。そして今日も「お前が鞄は?て聞かへんから、手ぶらで出てしもた」と、お約束の一言。あぁ!お願いやから、良い子、いや良い夫になって。次は「Xミッション」連れていってあげるからね(笑)。


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