ケイケイの映画日記
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2015年09月30日(水) 「天空の蜂」




設定こそ1995年ですが、現代にタイムリーな原発問題を扱った作品で、評判も高いので期待値上げて観ましたが、うーん。あれもこれもと詰め込み過ぎて、肝心のテーマがぼやけてしまい、イマイチの印象です。監督は堤幸彦。今回はあらすじは省きます。

まずツッコミが満載。まず子供が簡単にヘリの内部に入れるような警備に問題あり。そして、仕事で家庭ほったらかしで、妻が夫の湯川(江口洋介)に怒り心頭なのはわかるけど、まず自分の子供の行儀の悪さを申し訳なく思うべきでは?片方の子は、止めようと一旦止めています。前後の出来事に情状酌量ありですが、それでも父である夫を責めて、夫が妻に謝るシーンは不自然で必要なし。自分の子供が迷惑かけてが一切なしって、この親はモンスターピアレントなの?入れるなら、これを入れて。

救出場面もなぁ。何故ヘリに入れないの?私は素人だからわからないのかもですが、でも観ている人、ほとんど素人のはず。あんなに解り易いアナウンスで、真ん中のボタンもわからぬ子が、どうやって機械を操作して、モールス信号出したのか?そしてずっとリュック背負ったまま(笑)。下すと思うよ、普通子供でも。

犯人の動機の掘り下げも甘い。伏線であろうズームも、何度も出てくる写真も、何かわけがあるんだろうぐらいしか匂わない。あれを伏線とは言わないです。脈絡なく出てくる真実も、直接大事を起すには、痛ましいけど動機が希薄。原発の将来性に対して警鐘を鳴らしたいのは理解出来ますが、もっと方法があったはず。綾野剛は白血病らしいけど、それが理由かと思ったら、また別の裏側も。その裏側って、挿入する必要があったのか?必要があったなら、もっと深く描きこまないと。

仲間由起恵も、これみよがしの手首の傷は何?匂わせる部分はあったけど、あれだけでは説得力不足。説得力不足はドイツに行かなかった事もそう。犯人は彼女を利用したかっただけ?演技が良かっただけに、キャラの描き込み不足は痛恨です。

江口のキャラも、すぐすぐ改心するなよ(笑)。冷血漢っぽいワーカホリックの部分が上滑り。嫁ももうちょっと華のある人が良かったなぁ。

原発に対して、問題提議している部分は良かったと思います。特に民が観ようとしない、考えようとしないと言う言葉は、秀逸だと思いました。他に良かったのは、アクション的見せ場は盛り上がり、上手かったと思います。

モックンのメールが一番伝えたいメッセージだと思います。これを心の底から肝に銘じるべき事のはずが、それまでの語り口が不味く、いらないシーンやツッコミが多かったので、ずどんと腹に来ないのです。あぁ勿体ない!

テーマはすごく良かったのに、終わってみれば、原発を管理する人たちの信念や真摯と、自衛隊のカッコ良さが印象に残りました。これも大事でしょうけど、それだけでは残念な作品だと思います。ほんと、勿体ないです。


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