ケイケイの映画日記
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2013年10月11日(金) 「R100」




ホントはね、「地獄でなぜ悪い」が観たかったんですよ。今年は本数激減ですが、それでも一般の人から観ると、私はたくさん映画を観ています。だから観る時は出来るだけ、サービスデーや会員割引が利く時と決めています。梅田まで行けばガーデンの招待券もあったけど、なんか季節外れの暑さでまいっちゃって。10日は自転車で行ける布施ラインシネマの会員デーで千円なので、こっちにしました。あと一本鑑賞したら、ポイントが貯まって次が無料になることも大きかった。他のもあったけど、時間が合うし予告編観て、ちょいそそられたこの作品に。それがあなた、本当に!(怒)。映画ではありませんでした。最低の作品。監督は松本人志。

サラリーマンの片山(大森南朋)は、「ボンデージ」と言うSMクラブに入会します。支配人(松尾スズキ)によれば、プレイの場所は片山の日常生活の中。期間は一年、途中退会は出来ないとのこと。入会した片山の元に、次々と女王様たちが送り込まれます。

ざらついたブルーがかった暗い色調の画面で繰り広げられる光景は、ちょっと良かったんですよ。不条理でちょっと不潔で、この後どんな禍々しい事が起こるんだろうか?と期待させます。トレンチコートを勢い良く脱いだ、富永愛女王様の日本人離れを越して、「人間離れ」したスタイルの良さは、今思えば不吉さの象徴だったのかも。

片山には昏睡状態で3年以上入院中の妻(YOU)がおり、7歳の一人息子を育てています。そのストレスの発散や逃避、がSMだったのでしょう。それは全くOKですよ。私は人に迷惑をかけたり、障害を負ったりしなければ、変態は全然構わないと思っています。あぁ、それなのに!

数々のSMプレイなんですが、サトエリ女王様のお寿司の件が、嫌悪感を程よく刺激しますが、その他はほぼ暴力系ばっかり。ボウリング場での放置プレイなんか、面白くもなんともない。渡辺直美女王様の唾吐きって、あれ何?ジュースもわからん。笑わせるつもりらしいけど、汚いだけだよ!

多分思いつきでSMを題材にしただけで、監督は興味ないんでしょうね。だから顔の表情で恍惚感を表すなんて、小手先の描き方しか出来ない。延々しょうもないシーンが繰り広げられ、甘美でもエロスでも全然ない。渡辺直美登場くらいから、段々気持ち悪くなってきました。SMを題材に映画にするなら、魅せる画をもっと勉強して欲しいです。それとも変態はバカですよ、と言いたいワケか?

そして私の怒りが頂点に達したのは、息子も白のブリーフ一張で宙吊りにした事!子供ですよ?何やってんの?これを観て面白いと思う人を、私は軽蔑します。

それ以降何故かSMクラブは謎の秘密基地のようになり、全然大物でも意外でもない人がCEOという名の黒幕として現れ、脱力。もっとキャストに気配りしなさいよ。そして片桐はいりみたいな良い女優を、あんな役だけに使ってバカですか?贅沢じゃなくて無駄使いだっつーの!それにあれ、SMじゃなくて、妖怪じゃん!

本陣を陣取り、何故かSM嬢たちは忍者まがいになり、おんなじ事繰り返しの緊張感も全く無い片山との攻防戦を見せられ、脱力は絶望に変わりました。こんなのシュールでも何でもないわ。このグダグダさには秘密があって、途中で自己ツッコミして、「R100」と言うタイトルの所以を明かします。いや〜これはないでしょう。夢オチより狡いよ。

救いは豪華絢爛の女王様たちだけ。これだけのメンツを揃えられたなら、前半の「世にも奇妙な物語」テイストで行けば良かったのに。脚本も監督ですが、別の人に頼めば、もう少しマシな作品に仕上がったと思います。よくこんな作品が、メジャー系で全国拡大公開になったもんです。何故誰も止めなかったのか?罪は重いよ。松本人志が嫌いになる作品。


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