ケイケイの映画日記
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2013年06月09日(日) 「オブリビオン」

トムちんの映画は、内容が興味なくても観る事にしています。なのでこの作品も、ボケ〜と何も考えず金曜日会員千円のラインシネマに向かいました。始まって暫くして愕然!そうだ、SFだったのだ・・・。ワタクシSFは大の苦手でして、ちょっとは内容を仕込んでおくべきだったと後悔しておりました。しかし、娯楽作キング・トムちんに置かれましては、いらん心配でした。あれこれ以前に観た風景が現れ、SF的にはそこそこの描き方で、難易度はAくらい。それにそもそもこの作品、SFに名を借りたラブストーリーなのではないかと思います。最後まで楽しめました。監督はジョセフ・コシンスキー。

2077年の地球。エイリアンの来襲で起こった戦争で、地球は大気汚染に犯され、生き残った人類は、土星へと移住しています。そんな人々のいなくなった地球で、パトロールを続けるのがジャック(トム・クルーズ)。公私とものパートナーのヴィクトリア(アンドレア・ライズブロー)と二人きりです。任務に忠実であるため、彼らは赴任する前の記憶が消されていました。ある日墜落する宇宙船を見たジャックは、その後を追跡。そこにはカプセルで眠る女性ジュリア(オルガ・キュリレンコ)が。彼女こそ、毎夜にようにジャックの夢に出てくる女性でした。彼女はジャックの事を知っていました。

前半は荒廃した地球の様子と、それを監視するジャックとヴィカ(ヴィクトリア)の様子が描かれます。地球で二人きりですが、お互い信頼関係にある二人は穏やかに暮らしています。土星へ移住した組織との交信は、サリー(メリッサ・レオ)を通じて行われます。毎日必ず「今日もパラダイスよ」と答えるヴィカから、ジャックへの愛の満足感が伺えます。

アクションとして、お金をかけてスリリングなシーンも用意されています。それなりに見応えはありますが、目新しさはありません。それより私が印象に残ったのは、ジャックが生まれる前の2017年が刻まれる、アメフトのスタジアムの残骸跡で彼が語る勝負のシーンです。鮮やかな記憶の再現と、始終見る夢の数々です。こちらも見慣れた演出ですが、上手く作品をリードしています。

ジャックとヴィカとジュリア三人の場面が、静かですがピリピリします。これみよがしにジャックの手を取るヴィカ。せせら笑う様なジュリア。何とも意味深なSFらしからぬ光景です。三人の関係で私が一番共感したのは、ヴィカです。記憶が消され、見知らぬジュリアを夢見るジャックに対して、ヴィカは記憶が消されようと、夢にまで見るのはジャックだったんじゃないかなぁ。彼女は記憶が消させる以前から、ジャックが好きだったのだと感じました。それがジュリアへの敵対心になったのだと思います。切々としたジャックへの女心は、ジュリア以上だったと感じます。彼女の取った行動は、規律重視ではなく、ジャックに取って自分が、オンリーワンでなくなった哀しみだと思いました。

記憶や想い出。私のように年齢にならなくても、それが人生にどんなに希望や愛をもたらすものか、私たちは知っています。それが例え、「自分が自分」ではない状態であっても、自我の目覚めや感情を発露する事を引き起こすんだと、実感します。若い軍曹は否定しても、老いたモーガン・フリーマンがその事に賭けたのは、人生の経験値の違いなんだと思いました(ネタバレ出来ないので、苦しい書き方・・・)。そして私が痛感したのは、例え記憶がなくなっても、大事な人が存在する、それだけで人は希望が貰えるのだと言うことです。

「アウトロー」では、トムちん老けたなぁ〜と感じましたが、今回美女二人のラブストーリーと言う事もあってか、とっても若い!特に隠れ家にいる時の若々しさったら、往年を彷彿させるもんがありました。これなら四度目の結婚もあるかも?三回も結婚すると言うのはね、家庭を求めていて、そこに幸せを見出したいと思っているからですよ。ファンとしては、是非懲りずにもう一度結婚して欲しいと思います。

美女二人も、良かったです。オルガは素朴で愛らしく、芯の強さを感じさせるジュリアに適任でした。アンドレアは、他の作品では全然記憶にないのですが、この作品では大変エレガントで美しく、聡明で落ち着いたヴィカの見せる、一瞬の激情も見事に表現。とても感心しました。彼女の好演なくば、ヴィカに対しての理解やこの作品の解釈も、違うものになっていたと思います。

ネタバレになると差し合わりがあるので、この辺で。きっとネタバレが耳に入ると思うので、ご覧になる予定があれば、早いほうが良いです。似ていると評判の某作品、私は未見なので、レンタルしたいと思っています。


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