ケイケイの映画日記
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2012年11月09日(金) 「終の信託」




これがあの周防正行の作品かと、呆然としました。最初から最後まで呆然・眠気・怒りが繰り返すだけの作品。それを延々二時間半!女医は大バカ女だわ、患者の嫁は薄らバカだわ、これ尊厳死を問う作品じゃなくて、女性及び医師を冒涜したい作品じゃないの?今回罵詈雑言、ネタバレです。

呼吸器内科の医師折井彩乃(草刈民代)は、同僚医師(浅野忠信)との不倫関係に破れ自殺未遂。鬱々とした日々を過ごす彼女を励ましたのは、患者の江木(役所広司)。やっと立ち直れた彼女は、江木から自分の終末を託されます。後々彩乃の判断で人工呼吸器が外され、江木は死去。しかし6年後、彩乃は嘱託殺人として起訴され、検事・塚原(大沢たかお)と対峙することになります。

とにかく滅茶苦茶な脚本・演出です。検察に呼び出された彩乃の回想が描かれます。これは良し。序盤で綾乃の不倫現場なんですが、これが何と勤めている病棟の空き部屋。おいおい!綾乃は全裸のファックシーンですが、おかしいだろ?いつ誰が来るかもわからないのに、三文ポルノだって、そんな事しないでしょ?これがお互い割り切った大人の関係ならまだしも、綾乃は本気。バッカじゃないの?(バカです)。バレたら大変なこんな所でやってしまう男に、誠意なんかあるわけないじゃん。遊ばれてるのがわからんのか?当時推定40過ぎですが、これで捨てられて自殺未遂とは、女としてあんまり未熟過ぎ。勉強ばっかりしてて、男は初めてだったなら、セリフで言って下さい。それでもバカですが。

次にこの病院、結構な規模の二次救急のようです。深夜は野戦病院の如くのはずなのに、風邪の女子だけの診察シーンで、他はシ〜ン。これも変。眠れず休みたいと言う綾乃に、当直医師が自分の机から洋酒を差し出すのに唖然。「いや、仕事が終わってからですよ」と弁解しますが、仕事場で飲酒すんの?帰りがけに一杯ひっかけるなり、家に帰って飲めば済むこと。アル中ですか?病院内では、彩乃の不倫は公然の秘密みたいで、「眠れない」と言う原因は、破局だと誰だってわかるわ。医師は激務なので眠剤を服用している人が多く、常に手持ちがあるはず。なので綾乃が発作的にアルコールで服用するのは、私でも読めました。ここも大いに疑問。

信じられない。手薄な夜間の救急、それも当直医が自殺未遂って、どれだけ迷惑かけてんの?浅野は綾乃に「俺にあてつけか?」と嫌味を言います。私もそう思う。何が嫌かって、こんな下衆な男と同調したくないわ。死にたかったら他で死ねよと思っていたら、死ぬつもりはなかったんだとさ(by彩乃談)。それなら思い切り精神科受診だろ?アル中当直医は「この事は内密に」とナースに言いますが、患者まで知れ渡ってんじゃん。どうして院長及び理事長が、綾乃を呼び出し事情聴取しないの?こんな状態で診察なんかさせられるかよ。普通謹慎でしょ?医療現場をバカにしてんじゃないよ。

そして江木に励まされ、立ち直る彩乃。しかし回診の時間が長過ぎ。医者ってそんなに暇じゃないぞ。それとプライベートな事、話し過ぎです。患者にとって主治医は一人ですが、医師にとっては多数の中の一人です。人間ですから、そりゃ気になる患者もいるでしょう。患者が心の底まで話すのは有りですが、でもその逆なんて聞いた事ないわ。ここも大問題。

江木は自分はもう働けず家族に厄介ばかりかけている。妻(中村久美)は妻の両親・夫である自分と介護ばかりの人生で可哀想だ。治療費も掛かる。なので延命治療はしたくない。最後は主治医であるあなたに任せると言います。何故妻に言わないのかと言うと、か弱いからだそう。一人で生きていけないと言うセリフもあったし、それなら長男にも遺言しとけば?

そしてこの奥さん、劇中では大層頼りない。夫の体のために天地療養を勧められているのに、慣れた土地が良いと言うし、退院時、ナースステーションに挨拶もしない。あんな誘導のような綾乃のムンテラにも「お金もあまり残っていませんし・・・」とバカみたいな返事しかしない。でも数年前に夫婦でイタリアにオペラ見に行ったんだよね?貧乏な人がそんな事できる?60回れば早期で年金も降りるし、重篤な喘息には、医療補助もあるはずです。ハイとイイエくらいしか言えず、大層地味で常にぼぉーとしていて、所帯やつれした風情は、か弱いのじゃなくて、言葉は悪いですが、ちょっと足らない人みたいなのです。社会的にはか弱くても、家庭と言う庭では、花を咲かせる専業主婦は世の中にいっぱいいます。だから都合20年間介護しながら、あんなまともそうな子供二人を立派に育てて、病弱な夫に寄り添って支えてきたんじゃないの?江木の妻の造形も、世の中の主婦をバカにしているのかと憤慨しました。

で、臨終のシーンが噴飯ものです。呼吸器を抜く前に、家族にお別れをさせるのですが、これが学芸会か?の描き方です。抜管後、静かに死なずに苦しみのたうつ江木に、もう明らかな麻酔の過剰投与。素人が観てもわかる。ナースも「えっ?」だけじゃなくて、止めに入れよ。そして遺体に泣きつく彩乃。おい!あんたが主役になってどうする?その前に死亡宣告しろよ!泣くのは遺族だろうが!泣きたいなら病室出て行け!もうこの辺で私の血管が切れそうになりました。

もう書いてて疲れちゃった。検事も嫌な奴でね、高圧的で無礼千万。人の言葉尻を遮り話しは聞かない。しかし!語る内容は至極真っ当です。語れば語るほど、綾乃の医師及び人としての未熟さが露呈するわけ。それに検察の呼び出しがあれば、先に弁護士に相談するでしょ?素人が裸同然で行きゃ、敵にいいようにされますよこれで勤務病院初の女性部長医師ってどうよ?どこが優秀なの?未熟さなら百回は見た気がするけど、そんなシーンあったっけ?何度も東大出身と連呼されますが、それで「優秀」を表してんの?あの周防正行が?この尋問場面が結構長いのですが、前半のバカ女描写の羅列よりは、まだちゃんとしていました。

草刈民代はヌードの濡れ場もありましたが、脱ぐ必要のない場面です。47歳の年齢を思えば綺麗ですが、四捨五入50の女の裸を見たい人が、そんなにいるとも思えず。そしてこの人、顔が暗いのです。「Shall we ダンス?」の頃は、若くてまだ華もあったので、気になりませんでしたが、今では美人でもありません。終始仏頂面で、表情がないです。台詞も回しも早口で語尾が聞き取りにくい。今後夫の作品以外で需要があるのか、疑問です。

まだ書き足らない気がするわ。ぶっちぎりで今年のワースト1です。


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