ケイケイの映画日記
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2012年06月17日(日) 「スノーホワイト」

ご存知グリム童話の映画化。みんなが知っているお話ですけど、スタンダードなのは、ディズニーの「白雪姫」では?だからぱっと思い浮かぶのは、こっちだと思います↓


















実は原作はもっとグロいのですが、その原作とも視点を変えて、一般に知られる内容を大胆に脚色、ダーク・ファンタジーに作られています。私的には有りの脚色で、現在向かうところ敵なしのシャーリーズ・セロンの好演もあって、大人の鑑賞に充分満足出来る作品となっています。監督はルパート・サンダース。

昔々あるところに、可愛いお姫様がおりました。その子の名前はスノーホワイト。しかし王妃は亡くなり、スノーホワイトの父である王が妃に迎えたのは、魔女のラヴェンナ(シャーリーズ・セロン)。ラヴェンナは王を殺し、自分が女王となり、幼いスノーホワイトを幽閉します。七年後、魔法の鏡に未来を問うラヴェンナ。鏡は「あなたの栄光は今日まで。これからは世界一美しいスノーホワイトの時代です」と告げます。怒ったラヴェンナは、スノーホワイト(クリステン・スチュワート)を殺そうとしますが、機転の利くスノーホワイトは、命からがら、城を脱出します。

意地悪継母、魔法の鏡、七人の小人、毒リンゴ、王子様のキスなど、お馴染みの場面は全て描かれますが、全部捻りの効いた脚色です。今までの「白雪姫」との一番の違いは、スノーホワイトと継母の描き方です。今までの受身一辺倒、運命に身を任せ、誰かの助けて生き延びた姫ではなく、今回の姫は、過酷な運命に抗い、自らその苦難を切り開こうとする賢さと凛々しさがあります。そして自分の出自の誇りを失わず、民を第一に考える高潔さがあり、現代にマッチしながら、クラシックでもある姫のキャラは、大いに好感が持てます。

継母の方は、今までその背景を語られる事はなかったはず。今回の解釈では、時の権力者に焼き払われた村の生き残りで、その事を嘆き恨む母の妄執の願いで、ラヴェンナは魔力を持ったように描かれます。類い稀な美貌を武器にのし上がるも、簡単に相手に裏切られ、男を恨む過去も忍ばせます。邪悪ですが、充分に彼女への同情も生まれるキャラです。


私は何も知らず、セロンが魔女役だから観たのですが、これが結構なコスプレ大作の趣で、城の造形、追っ手の兵士から逃げる姫には白馬が用意され、魔の森のダークさも丹念に描かれます。妖精の森は美しく実にファンタジックで愛らしい。終盤の戦いの様子も、お子様向けの「白雪姫」とは言わせない本格的なもので、結構興奮しました。

で、セロンに完全に負けていると言う噂のクリステンですが、私は充分健闘していたと思います。そりゃ美しさから何から、セロンに見劣りするのは致し方なし。しかし若く美しく、そして正しい心を持つ少女は、汚れた者の心も正しくさせ、人としての誇りを目覚めさせる。そういう高潔な姫を演じて、私は充分合格点を上げられる演技だったと思います。

そしてセロン「様」。もう様をつけちゃおう!彼女の「俺は女優だよ!(漢字の俺ね)」的、男前な演技には感動すらします。今回は怖〜いラヴェンナの冷血な様子、その裏の哀しさ、そして圧倒的な美しさ、全て満点。彼女の好演あってこそ、ラヴェンナに同情出来たと言うものですよ。そして果敢に老けメイクも披露します。年齢的に40前と女優としては微妙な時期にさしかかっているセロン。その輝く美貌が邪魔していた時期もありますが、邪悪な女王として貫禄たっぷりに敵役を演じる彼女は、今や完全無敵。作品選びもバラエティに富んで、必要とあらば裸も辞さずの彼女。女優として完璧だと思います。私はメリル・ストリープを継ぐのはセロンだと思うな。ちょっと美人過ぎるけど。

他の主な登場人物に、姫を助けるハンターのクリス・ヘムワーズと、幼馴染の王子役サム・クラフリン。クリスは豪快さにはちょっと欠けるけど、心ばえの清潔な様子は作品の世界観に合っています。なるほど彼なら、「白い肌の異常な夜」にはならず、あの時身を引く様子も納得でした。サムはイマイチ印象薄く、毒リンゴの時、やっと出番だよと思っていたら、えぇぇぇ!何故?となりました。その後の展開で存在意義が発揮されるという、噛ませ犬的存在ですが、まぁやっぱり清潔感があったので、良しとしよう。

七人の小人は、てっきり本当に身長の小さい人が演じると思っていたら、あらあの人じゃん、この人も!と見知ったオッサン名バイプレーヤーがCGで小さくなって演じていて、楽しいです。むくつけきオッサンたちですが、やっぱり小人になると可愛いです。ユーモアは薄い作品ですが、彼らのパートのみクスクス笑えるのは、やっぱり俳優の力量かな?

吹き替え版も用意されていますが、どちらかと言うと大人が味付けの作品です。小さなお子様では、ちょっと怖過ぎたり気持ち悪い場面もあるので、私はファミリー映画としてはあまりお薦めはしません。観ても小学校中学年以上くらいかな?大人には文句なしにお薦めします。


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