ケイケイの映画日記
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2012年01月11日(水) 「宇宙人ポール」




大阪は昨年の12/23から公開でしたが、前もって私のホームグラウンドの布施ラインシネマで1/8から公開と知っていたので、待っていました。昨年観てたら絶対ベスト10に入れた作品だけど、私の選択は正しかったみたい。こんなオタク心満載の映画愛に溢れた作品、自分の一番大切な劇場で観るべきですよ!監督はグレッグ・モットーラ。

遥々イギリスから憧れのコミコン(SFやコミックの最大イベント)にやってきたオタクのグレアム(サイモン・ペッグ)とクライブ(ニック・フロスト)。彼らのもう一つの目的は、有名なUFO関連の名所を巡る事。キャンピングカーをレンタルして名所を廻っていた彼らの前に、一台の事故車が。運転手を救出すると、それは本物の宇宙人のポール(声・セス・ローゲン)。ポールは60年前地球に不時着して以来、政府の捕らわれて、研究対象となっていましたが、とうとう解剖される時が来たのです。内部に支援者がいて脱出したポールは、仲間と合流出来る場所まで、二人に援助を願い出ます。

ポールのキャラが超素敵!下品で人を食ったような物言いなれど、実は器が大きく心に熱〜いモンを持っている。確実に登場人物の中で、一番「男前」でした。人にモノを頼むのにですよ、「たまには人生で冒険してみろよ〜」なんて、本物の宇宙人を前に躊躇している二人を前に、普通言えませんよ。それが納得させてしまうんですから。上から目線ではなく、正に人生(宇宙人だけど)の先輩としての貫録が、あちこちに漂ってんのよ。

行く先々で難事件が待ち構えていますが、それが過去の名作のオマージュやパロディになっています。これが抱腹絶倒なのですが、何がすごいって、元ネタを知らなくても抱腹絶倒出来る事。一見オタク御用達作品を装いながら、とっても繊細に脚本や演出が練られています。

「M:I:B」みたいなゾイル(ジェイソン・ベイトマン)の上司は、声で「あの人」だとわかりました。そりゃあなた、エイリアン退治なら「あの人」しかいないでしょ!「スタトレ」パロディの某作品にも嬉々として出ていたし、一億円でスキンヘッドになったり(私なら100万でもなりますが)、大物なのにナイスな人なのよね。

主演のペッグとフロストは、映画好きから数々の熱狂的な支持を受けた「ショーン・オブ・ザ・デッド」や「ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!」に続き、脚本も担当しています。子供の頃からの親友同士なのに、アメリカでは男同志のツレだと言うだけで、どこでもゲイに間違われます。成り行きで一緒に同行するはめになったガチガチのキリスト教原理主義者にして、隻でのルース(クリスティン・ウィグ)が、ポールによって両目が開かれると今度は一転、ビッチな言葉ばかり。今まで片目でしか世の中を見ていなかったからなんだよと言わんばかり。でもその描き方に少々毒はありますが、決して悪意は感じません。だから素直に笑える。これは相当に相手を知っていなければいけないし、知性も必要。これって私の大好きなサム・メンデスに似ています。

何より親愛の気持ちが必要です。それがポールのフレンドリーかつ大陸的なキャラに集約されている気がします。最初から最後まで笑って笑って、気がついたらしんみりしたり、でもその直後どかんとかまされて、また笑って、最後にはとても感動出来る、尻尾まで餡子状態の作品です。ちょっとお下品だけどオゲレツではないし、お子様にはちょっと誤魔化さないといけない箇所もありますが、まっ、これくらいは大丈夫でしょう!(本当か?)我こそは映画ファンと言う方は、何箇所パロディが出てきたか、数えるのも楽しいかも?


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