ケイケイの映画日記
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2011年10月23日(日) 「カウボーイVSエイリアン」




どうせトンデモだろうとバカにして申し訳ない、面白かったです!昨日は本当は香港の「アクシデント」が観たかったのですが、夫がこっちが良いと言うので変更。そんな初日に観るような映画でもなし、でも近所のラインシネマでやっているし、まぁええかと、期待値低め気楽な気持ちで観たところ、平日の仕事の疲れがリフレッシュされる楽しさでした。監督はジョン・ファブロー。

1873年のアリゾナの荒野。一人の男(ダニエル・クレイグ)が目を覚まします。手首には奇妙な腕輪、そして記憶を無くしています。町にたどり着いた彼は、牛飼いのダラーハイド(ハリソン・フォード)が牛耳っており、その息子パーシー(ポール・ダノ)の傍若無人な振る舞いに、町に人々は困り果てていました。業を煮やした保安官(キース・キャラダイン)はパーシーを逮捕。男も記憶が戻らないまま、お尋ね者のジェイク・ロイドだと判明、拘束されます。二人の輸送が決まり、ダラーハイドが息子を釈放させようと駆けつけたとき、得体のしれない者が空から町を襲い、町民をさらって行きます。

何がビックリしたかと言うとだね、すごくしっかり西部劇していたわけですよ。腕の滅法立つ記憶喪失の男、悪党の権力者が牛耳る町、諍いは酒場で起こり、銃の発砲、職務に忠実な保安官、そして謎めいた美女(オリヴィアワイルド)。これ以降も拷問の仕方、馬で荒野を走れば強盗団に出会し、切り抜ければ、今度はインディアン。もちろん銃撃戦や馬でのチェイスあり。お尋ね者の愛した女は娼婦だったり、ひ弱い者が、ここ一番でいい仕事をするのも鉄板。もうね、エイリアンなんか、いらないんじゃないの?と言うくらい、セオリー通りの西部劇の展開です。老若の男たちは皆屈強で、「犬と子供が着いてくるなら、女もいいだろう」なーんて台詞も、この作品で気分を害するようじゃ、無粋と言うもんです。

エイリアンが人間をさらう様子は、まるで投げ縄のようで、やっぱり西部劇。すぐにグロテスクな全容を表しますが、この辺は斬新さなし。それよりこんな方法で退治出来るのかね?とは思いましたが、何せ大昔なんで、エイリアンも、まだまだ進化していなかったのよね。それより!あんなのに遭遇したら、普通気絶するだろうよ?と思うのですが、どなたも果敢に立ち向かい、怯むことはございません。この辺も西部の男よね〜(そうか?)。かようにVSエイリアンにはツッコミもございますが、面白かったので不問っす。

クレイグはイギリス人なんで、西部劇なんて、はて?と思っていましたが、埃まみれのお尋ね者の正義を体現出来ていて、ちょっと感激。ボンドの時より5倍は良かったです。ハリソンは初登場シーンが苦虫を噛み潰したような顔だったので、今回は悪役かと思いきや、金と権力にまみれた尊大な男が、根底に持つ情けを揺さぶられ、段々良い人に変化。こんなんで変化していくなんて、おめでたいわね→いや単純かな?→いえいえ、素直なのよ〜、と、こちらも素直に受け取る方が楽しいですよ。

謎の美女のオリヴィア・ワイルドが重要な役です。でも良く考えりゃ、何故ここに?なんですが、むくつけき野郎どもばっかりですから、花を添える意味でアリだと思います。意思の強そうなクールビューティーさんですが、エラが特徴あるでしょ?それが名乗るとき、「エラよ」と仰り、思わずメロンソーダ噴きそうになりました。翻訳の戸田奈津子センセーもびっくりされた事でしょうて。

他には保安官役に年を取って渋くなったキース・キャラダインをキャスティングしたり、愛妻家の酒場の店主のサム・ロックウェルは、いつもの曲者ぶりはどこへやら、直球ど真ん中で演じて印象に残り、やっぱ芝居うまいんだわと再確認。ノア・リンガー君の勇敢さも好感が持てました。ポール・ダノのバカ息子も、こんな役もやるんだぁ、頑張ってねと言う思いにさせ、それぞれハマっていました。

深読みすりゃ、善良な町人、嫌われ者の権力者、強盗やインディアンなどが、局地的大集結で敵に向かう様子は、人種のるつぼのアメリカの、敵対する国に対してのスタンスのように読めますが、そんな事感じなくても結構。頭空っぽにして、ただただ楽しむべしの映画です。


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